日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

人間

まだまだ眠っている可能性が

作家・沢木耕太郎さんは、大学卒業後に富士銀行(当時)へ入行したが初出社の日に退社したという。退社を決めたのはその出社途中で信号待ちをしているときだったそうな。 その沢木さんは高校1年の春休みに東北一周の旅へ出た。北上駅の待合室で夜を明かそうと…

年とればスピードの増すものは

毎年、月日がたつのを早く感じる。同年代の知人と話しても同じ感覚のようだ。それは、どうやら“体内時計”というものが影響しているらしい。 加齢に伴い、体内の新陳代謝の速度が遅くなっていくのを自分では気がつかない。それで、体内時計では半年たったと思…

1時間は50万年に相当する

10進法は人間の心理を縛るものらしい。元陸上選手の為末大さんは著書『限界の正体』にて述べた。たとえば100メートル走で目標を10秒に設定した場合など、キリのいい数字を意識することでプレッシャーや力みが生じ、本来の能力を発揮できなくなる恐れ…

決してのぞいてはいけません

村上春樹さんの『アフターダーク』にある。<眠れないのかもしれない。眠りたくないのかもしれない。ファミリー・レストランは、そのような人々にとっての深夜の身の置き所なのだ>と。深夜の“ファミレス”が重要な舞台になる長編作品だ。 戦後大きな反響を呼…

記憶の根源はいつ頃なのか

魔法のように会話がスムーズになったり、自分の思う方向に結論を導きやすくなったりする言い回しをマジックワードというらしい。たとえば、「ありがとう」と言われてイヤな気分になる人はいないだろう。人間関係の潤滑油にはうってつけの言葉である。 かたや、…

不幸にする一番確実な方法は

<みんなで吸おう 明るい煙草>。昭和20年代中期の映画館には、こんなキャッチフレーズのポスターが貼ってあったらしい。 作家・井上ひさしさんが傑作青春小説『青葉繁れる』のあとがきに、その景観を書き留めていた。仙台市での高校時代には、映画館に足…

流れの先に待つのは何なのか

何気ない新聞記事を思い出すことがある。2019年3月、佐賀県警武雄署は住所不定、無職の男(当時44)を窃盗容疑で逮捕。男は8日午後10時45分頃、町内の女性方敷地にて無施錠の軽乗用車から約760円を盗んだ疑いだという。 女性が車に乗ろうとした…

あまのじゃくは脳のどこから

あの二葉亭四迷さんは坪内逍遥さんを訪ねて教えを請うたという。<初めての小説をどう書くか>。坪内さんいわく“円朝の落語通りに書いて見たらどうか”・・・と。 四迷さんは言われたとおりに、三遊亭円朝さんの口演を参考にして、話し言葉に近い口語体を用い…

旺盛な好奇心と行動力が源で

モーツァルトは5歳で作曲、6歳で女帝マリア・テレジアの前で演奏したという早熟の天才伝説があるという。ゲーテは10歳にして7カ国語で物語を書いた・・とも。 モーツァルトは音楽家だった父親と欧州各地に旅をしながら厳しい幼少期教育といわれ、真実味…

人の寿命はたくましくなるか

本年もよろしくお願い申し上げます。いつも読んでいただき、ありがとうございます。そして、皆様のすばらしい記事を多く読ませていただけることに感謝しております。 さて、伸びる子どもは自己肯定感が高く、積極的に物事へ取り組むという。そういう子どもの…

逸話から垣間見られるホント

私はどんなジャンルでも逸話が好きである。 「今日のお客さんは◯百◯十何人でしたね」と、演壇から降りて係の人に告げた。将棋の大山康晴十五世名人が講演をした際の逸話だ。その数は主催者の記録と、ぴたり一致。「客席は将棋盤と同じマス目だから、ひと目で分…

右脳の勉強はノートに記して

将棋の羽生善治九段の言葉だという。<現代はAI時代ですが、私は勉強するにもノートに記します>。 たとえ画面を見なくても、スマートフォンが目に入れば記憶力や思考力が落ちるという。情報を得たり知人との連絡などと、スマホに頼る場面は多い。 私の場合…

成し遂げる人はやばい習性も

すごいことを成し遂げる人は業が深く、やばい習性もあるらしい。それは、波乱万丈の振れ幅が、凡人よりも激しいということでもあるようだ。人生の“すごい”絶頂と“やばい”破滅は表裏一体なのだろう。 興味深い話はやはり“やばい”方なのか。『平家物語』に記述…

隠居には好きなことが似合う

通信の主役が固定電話から携帯電話に移る中、(2017年度末の時点で)固定電話の契約数は1987件だという。2000万件を割り込んだのは1971年度以来で46年ぶりだった。ピークの97年の6322万契約から約3分の1の減少である。 加入電話の全…

授かった2つの耳と1つの口

<この面相で、この脳みそで、この運動神経で、この環境で・・・。どうやって面白く生きていこうかってのが、人生だと思うんですよね>。俳優・山崎努さんの言葉だったろうか。 人は自分の気づきたいことしか気づけない生き物だという。 人間術として勉強さ…

人類の文化にはそれがある

まだパソコンが一般化する前の時代に、横浜駅近くの銀行を会場に借りた写真の展示会があった。得意先の手伝いで、地元の写真コンテストの入選作品の飾り付けを行ったが、閉店後の時間帯でも行員さんたちは無言で事務処理に追われていた。 今はデジタル処理な…

人間味を意識するは人工知能

昨年、北海道大学でAI(人工知能)の研究チームが、写真をもとに俳句を作る人工知能を開発したという。コンピューターが自ら学ぶ“深層学習”で、小林一茶さん、高浜虚子さん、正岡子規さんなど俳人の約5万句を学習。その名も「一茶くん」だとか。 ひとまとまり…

視点はミステリーのごとくで

<万引きで 奪い取ったよ 最高賞>(関根 悟さん)。昨春、新聞にあった時事川柳である。是枝裕和監督の『万引き家族』が第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに選ばれた。 その授賞式で、ケイト・ブランシェット審査委員長が、コンペ部門の作品は「…

ウソの裏にある大胆な大雑把

<さまざまの事おもひ出す桜かな>。松尾芭蕉の句である。人が桜に惹かれるのは、眺める度にうれしかったり悲しかったりする。そして、共に刻んだ記憶がよみがえるから・・・と。 3分咲きや5分咲きと、桜の開花を数値化するのは、本来 無理な話らしい。木…

春なのに気になるのは脳の話

明治時代に来日した米国の女性旅行家エライザ・ルアマー シッドモアさんの著書『日本・人力車旅情』は今なお読み継がれているらしい。 <桜のつぼみが顔を出し、膨らみ、徐々に花開く、これは一般大衆の主要な関心事である。だから地元紙は、開花予想など桜の…

人の意識と思い込みについて

『刑事コロンボ』の主役として知られる米国の名優ピーター・フォークさんが、亡くなる前にアルツハイマー症候群が進行し、自身がコロンボを演じたことも忘れてしまっていたという。 人間の意識や思い込みについて、考えることがよくある。思い込みについては…

常に一期一会であること・・・

千利休の茶道の筆頭の心得だという。<あなたとこうして出会っているこの時間は、二度と巡っては来ないたった一度きりのものである。だから、この一瞬を大切に思い、今出来る最高のおもてなしをしましょう>。そのことが“一期一会”なのであろう。 少し掘り下…

寒さで養えるのは集中力か?

本日は“大寒”らしい。日付としては今月6日の“小寒”から、来月3日の“節分”までの寒の内のちょうど半ばにあたる。 武術などの鍛錬をめざす“寒稽古”や神仏に詣でる“寒参り”。“寒垢離(かんごり)”は寒中に水をかぶって神仏に祈る修行だという。昔はお金をもらっ…

人と違うすごさを発揮する人

往年の名優・加東大介さんは東宝映画『次郎長三国志第5部』(1953年11月公開)で、主役の“三保の豚松”を演じるため、ロケ地の京都にいた。マキノ雅弘さんが監督である。 撮影開始の前夜、マキノさんのもとに電報が届いた。文面は「ブタマツコロセ」。東宝…

創作のメカニズムを考えると

人の発する表現力の源泉は同じだろうが、秀でたスポーツ選手を見ると体のメカニズムに興味を持つ。いろいろなジャンルの作品にふれれば、作家の脳や心のメカニズムが気になる。 <上手にはすきと器用と功積むと この三つそろふ日とぞ能くしる>。千利休が茶…

今このときがまさに晩秋の旬

時を超越して伝えられる文字の情報力は大きい。<ゆとりでしょ?そう言うあなたはバブルでしょ?>。昨年のサラリーマン川柳の入選作品で、お気に入りの句である。 <サラリーマンという仕事はありません>。大きな文字でバブル時代の新聞に掲載されたらしい…

おもしろい断片を持つために

<普通の人は“今”しか見えない。前を見ているつもりでも実際は“バックミラー”を通して見ている>。文明批評家・マクルーハンの言葉だ。凡人は“前”を見る努力が欠かせないようである。 いろいろなモノがそろっていたかどうかで、世代差を感じることがある。子…

世間では やばいことが面白い

“やばい”の語源は“やば”で、形容詞化して“やばい”になったらしい。意味は、不都合なことや危険なさまをあらわす言葉。 江戸時代から使われて、『東海道中膝栗毛』にも用例があるそうだ。本来は危険で、 悪いことが起こりそうなイメージだが、今は肯定的に使わ…

心理に行動を合わせてみれば

“人間は合理的ではない”という前提に立ち、心理学を取り入れて考察する。経済理論とくれば、行動経済学らしい。 ある食堂の昼メニューは、A定食800円、B定食1000円だとする。店では利益の上がるB定食を多く売りたいが、思い通りにいかない。それで…

「ありえない」が「ありえる」に

気が付かなかったが、今年の十五夜(中秋の名月)は2018年9月24日(旧暦8月15日)だったようだ。 昔の人のこの季節の月へのこだわりはすごい。十六夜を“いざよい”というのは、前夜より欠けた月が50分ほど遅く、ためらう(いざよう)ように出てくるから…