日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

心理に行動を合わせてみれば

 

“人間は合理的ではない”という前提に立ち、心理学を取り入れて考察する。経済理論とくれば、行動経済学らしい。

ある食堂の昼メニューは、A定食800円、B定食1000円だとする。店では利益の上がるB定食を多く売りたいが、思い通りにいかない。それでも、メニューにC定食1200円を加えてみれば、B定食が売れ出す。1番高いものは敬遠され、2番目が選ばれるのだ。

指導者が簡潔に断言してできるだけ同じ言葉で繰り返し説く。そうすれば、その意見がさらに威厳を得て群衆の中にいや応なく感染していくという。(フランスの心理学者ル・ボンの『群衆心理』より)。

 

2247

 

<大勢の侍が年寄りを襲うなんて>。江戸・本所の吉良邸へ赤穂藩の旧藩士47人が討ち入ってしばらくは、吉良上野介(こうずけのすけ)への同情の声の方が多かった。

その事件を題材とした浄瑠璃や歌舞伎が上演されると、今度は赤穂浪士がたちまちヒーローになる。庶民の突然の心変わりに、吉良家の縁者たちの戸惑いはさぞかし大きかったことだろう。

不惑とは物の考え方などに迷いのないことであり、「論語」為政の<四十にして惑わず>から40歳のことでもあるらしい。その年齢をはるかに越えた私は、今も惑いっぱなしである。

<「感」の中に「惑」に似た部分があります>と吉野弘さんは詩に書いた。ぱっと見、“不惑”と“不感”は誤読しやすい。ちなみに、不感とはものを感じ取ることができないさまらしいが、たしかに私は鈍感でもある。

 

2248

 

1930年代、アメリカはラジオで音楽をすべて流すようになった。すると、音楽が無料になったとみんなが喜び、レコード売上が激減した。

1950年代にレコード会社は、ラジオ向けに短めの曲をシングルカットして、ラジオで流してもらうようにした。するとレコード売上は好調になった。試行錯誤は20年もあったが、音楽の「無料プロモーション」はこのときに定着したという。

現在は、CDの売り上げが減少する一方、定額で好きな曲を何万曲も聴ける音楽配信サービスが普及している。安価で聴きやすい状況ができたのに、音楽を聴かなくなっている風潮だとか。

有り難みが損なわれると、そこから離れていくという心理があるようだ。カセットテープが注目を浴びる背景がそこにあるといわれる。曲をスキップできないカセットテープでは、A面の1曲目からB面の最後まで音楽と向き合い、楽しさを再認識できるからなのだという。

レコードを聴くデジタル世代にしても、曲が流れるまでの面倒な作業があるからこそ、あの柔らかなアナログ音に癒やされるのだろうか。