日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

決してのぞいてはいけません

 

村上春樹さんの『アフターダーク』にある。<眠れないのかもしれない。眠りたくないのかもしれない。ファミリー・レストランは、そのような人々にとっての深夜の身の置き所なのだ>と。深夜の“ファミレス”が重要な舞台になる長編作品だ。

戦後大きな反響を呼んだ日本研究の『菊と刀』の中では、アメリカの人類学者がおもしろい指摘をしていた。日本人は“容赦なく眠りを犠牲にする”のだと。

もともと睡眠好きで、眠っていい時には喜んで眠りにつく半面、必要とあらば軍人も受験生も夜通しでがんばる。

批判もあった著書だが、寝る間を惜しんで復興を成し遂げた日本の働き手の戦後の足跡を思うと、ふに落ちる。

“人と人を結ぶ絆にはさまざまな形がある”とは、作家・五木寛之さんの言葉。仲間との団結を深める明日への“夢”と同じくらいに“思い出”が重要な役割を果たしているとのこと。

 

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世の中、接する人が気の合う人ばかりというわけにはなかなかいかない。必ず、どうも苦手だなと思う人がいるもの。新幹線の車内販売員だった茂木久美子さんの著書に対処法がある。

乗客が自分の態度や物言いを嫌う場合、自分も相手に苦手意識を持ち、乗客に伝わってしまうもの。それでは商売にならないため、想像力を働かせたという。乗客にもいろいろ事情があるはず・・・と、好意を持てるように努力をした。

さて、こちらは心理学で知られた実験だという。たとえば7人が一室に入り簡単な質問を順に答えるとする。実のところ6人がサクラでわざと誤答するのだ。そこで、7人目の被験者はどう答えるのか。

研究によれば、周囲に引きずられて誤答する人は少なくないらしい。そんな人間の同調行動を調べる実験の中で、自分が思う本当の答えを口にする時には勇気がいるものだろう。

 

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悲しき人の性(さが)なのか。「決してのぞいてはいけませんよ」と言われれば、ますます見たくなってしまう。それは人の物に限らず自分の手の中にあるスマホにも当てはまる。とにかく見始めたらキリがなくなる。

昨今の「サラリーマン川柳」の入選作にもスマホやデジタル機器に関するものが増えている。裏を返せば、世間についていけない中年男性の哀感が漂うからネタには事欠かない。

<おじさんはスマホ使えずキャッシュです>。この居直り感がたまらなくうれしい。<アレクサは何科の草か孫に聞き>。この句をみて慌てて調べたおじさんもいるような。

AIスピーカーなど音声で、家電などを操作することで「アレクサ、何か音楽かけて」などと話しかけると曲が流れる。とても便利なAI(人工知能)の身近な機能のひとつであるが、この便利さにとまどうところがなによりも楽しい。しみじみ思うが、つねにバタバタしているのが人生の本質なのかもしれない・・・と。