日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

「ありえない」が「ありえる」に

 

気が付かなかったが、今年の十五夜(中秋の名月)は2018年9月24日(旧暦8月15日)だったようだ。

昔の人のこの季節の月へのこだわりはすごい。十六夜を“いざよい”というのは、前夜より欠けた月が50分ほど遅く、ためらう(いざよう)ように出てくるからだという。さらに50分ほど遅れて出る十七夜は、立って待つ立待月(たちまちづき)というのだ。

お月見で連想するのはすすきである。穂の出たすすきを稲穂に見立てて飾り、悪霊や災いなどから収穫物を守り、翌年の豊作を願う意味もこめる。

時期にかかわらず月に草花はよく似合う。禅語に<花は誰のために咲くのか>という定番の問いがある。哲学風の答えがいくつも出てきそうだ。

 

2229

 

英語の青い薔薇(ばら)“ブルーローズ”には、「ありえないこと」という意味があるという。薔薇は青系統の色素をもたないためなのだが、ありえないはずの花も今は遺伝子の組み換え技術で咲く時代になっている。

宇宙誕生から約138億年といわれるが、160億年という悠久の時の流れを経ても、狂いが1秒に満たないという、ありえない“超高精度な時計”が存在するらしい。

時計は、物体が規則的に振動する回数を測ることで時を刻む。振り子時計や水晶の振動を使ったクオーツ時計も原理は同じ。振動が小刻みなほどその精度は高まる。

長らく高精度時計の王者として君臨しているのは「セシウム原子時計」といわれる。マイクロ波という電磁波をセシウム原子に当てることで、1秒間に91億9263万1770回振動し、特有の電磁波を出す。3000万年に1秒程度しかずれないため、日本をはじめ世界各国では、これを計測して標準時を決めている。

 

2230

 

科学者らは、さらに精度を上げる方法を探し、セシウムより小刻みに振動する原子を使いたいと考えた。しかし、原子の動きが激しくなり互いにぶつかって振動数を正確に測れない。防ぐには、原子1個ずつを決まった場所に閉じ込めておく必要があるのだ。

2000年代初めから研究に取り組む東京大教授・香取秀俊さんらは、レーザー光で作った“容器”に原子を閉じ込める方法を考案した。特定の波長のレーザー光線を重ね合わせると原子が1個ずつ収まる空間ができる。これが「光格子(ひかりこうし)」である。

そこへ、ストロンチウムなどの原子を1個ずつ閉じこめ、その状態の原子を極低温に冷やし(上述とは)別のタイプの光を当てると、多数の原子がぶつからずに振動して正確に計測できた。

03年の試作当初はセシウム原子時計より精度が悪かった。室温が原子の振動に及ぼす影響を大幅に減らす手法などで、15年には160億年に1秒しかずれない精度を達成。ついに日本発の「光格子時計」は完成した。

スーパークロックを使うと、山の上と下では時間の進み方がごくわずかに違うことがわかった。従来の時計では検出できなかった現象で、精密な測量などにも応用が期待されているそうだ。