日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

映画・テレビ・ラジオ

人格を持たせてのリアリティ

昔の人はよく擬人名を使っていた。スリムな人は骨皮筋右衛門(ほねかわすじえもん)、怒りん坊な人は小言幸兵衛という感じに・・である。 人の特徴や性質を人の名前のように表現する方法であった。今、ほとんど使われていないのは、“なんとかハラスメント”にな…

タイムマシンで行きたい映画館

映画の人気が強かった頃は、邦画の新作を“封切り”といい2本立て上映だった。洋画はロードショーといって1本のみの上映だった記憶がある。 「封切り」の語源は、新しい映画のフィルムが封の付いた箱に入っていたからだという。そのフィルムのお下がりは、数週…

聞く力と聞かない力の違いは

エッセイスト・阿川佐和子さんは、インタビューで相手から「話したら、自分の頭の中の整理がついた」と言われることがよくあるという。 考えをまとめるように意識して質問することはない。「ちゃんと聞いていますよ」という合図を相手の話の間にを入れ、「もっと…

存在感の薄まるTVメディア

「横浜市史」にあるという。江戸末期に米国のペリー提督ら一行が、黒船で来航した際に横浜で相撲見物をしたそうな。 1854(嘉永7)年、日米和親条約が締結されたときには、幕府の配慮で力士と面会した。米兵は、米俵を軽々とかつぎあげる力士に興味を抱いた…

世界の見え方が異なる名人達

本塁打王の王貞治さんは、打席で“ボールの縫い目まで見える"といった。打撃の神様・川上哲治さんも好調のときには“ボールが止まって見える"と発言している。 「動物的」と称された長嶋茂雄3塁手は打撃のみならず、華麗な守備で多くのファンを魅了した。長嶋さん…

テレビっ子の原点ならアレ?

私は“テレビっ子”である。とはいえ、テレビではなくスマートフォンなどで、動画や配信映像を楽しむ人が増えている今は、この言葉も死語なのかもしれない。私もリアルタイムの番組はほとんど観ていない。 白黒、カラー、地上デジタルと進化してきたテレビも、…

「~しただけなのに」で始まる

映画やドラマはストーリーだけでなく、“事件・事情・事実”という3大要素の絡み合いも見どころである。とくに、事実なのかと感じさせられるリアリティに興味が深い。 2018年11月公開の映画『スマホを落としただけなのに』は淡々と始まった。発端は、ヒ…

当たる素材を嗅ぎ分ける嗅覚

1943年に『姿三四郎』でデビューした黒澤明監督は33歳だった。当時、戦争で他の監督が出征していたという状況下である。 60年当時、映画界は名監督が多くいて、助監督を長く経験してから監督デビューするのが普通だった。やっと映画監督になれた時に…

存在を楽しく許すは あの映画

落語のいいところは、損得と関係なしに“その存在を楽しく許している”ということらしい。そこには、演者とお客さんで共感が持てる“笑い”が介在している。 ヒットシリーズ映画『男はつらいよ』には、「落語のエッセンスをふんだんに感じる」と称されることがよく…

一つの出来事を巡るエフェクト

<わけがわからん>。超ワンマンの永田雅一・大映社長は言い放った。黒澤明監督が撮った『羅生門』の試写を見たときのことだ。その作品は1951年のベネチア国際映画祭でグランプリを獲得。 戦争の傷が癒えぬ世の中も大いに沸いた。クロサワの名が世界にと…

気になる映画で思わぬ拾い物

小説や映画の作品を一度読んだり視聴すると、わかった気持ちになるが、見落としているところは多い。それも、けっこう大事な部分を・・・だ。 <やがて、自分が写真に撮っていたのは物ではなく光だったことに、彼は気づいた。被写体は単に光を反射する媒体に…

2パーセントを攻める伝統芸

先日、『大脱走』という映画がテレビ放映されたので録画をして観た。1963年に公開された(戦闘シーンのない)集団脱走を描いた戦争映画である。リアルタイムの映画館では観ていないが、レンタルビデオの時代に借りて観たのだと思う。 内容は観て知っている…

似ていても違う生存の仕組み

座禅は知っていたが、こちらは初耳であった。俳人・金子兜太(とうた)さんは80歳を過ぎてから立禅(りつぜん)を日課にするようになったという。亡くなった肉親の名、友人知己や恩師、先輩を次々に心の中で唱えるのだという。 それぞれの思い出も頭の中を断片…

スリリングだったラジオ放送

ニッポン放送の深夜番組『オールナイトニッポン』は、1967年10月の番組開始以来とラジオの長寿番組である。ニッポン放送をキー局とするラジオの深夜放送である。他局にも深夜放送はあったが私の住むところでは、ニッポン放送の感度が一番良かった。 “…

寅さんの指導方法「おひたし」

“ヒットの鍵は口コミ”との文言が飛び交う時代である。かつて“時代を映す鏡”と称された雑誌も今や売り上げ減だという。口コミという言葉の語意も時代とともに変化しているようだ。今ならLINEやツイッターなどSNSを使った情報の拡散なのであろう 虚業家…

ひょうひょうとしている説得力

女優・タレントが本業なのに、硬いテーマでもコメントはユニーク。TBS系『Nスタ』のホラン千秋さんである。昨年の半ばくらいから、平日の夕方にテレビを見る機会があれば、必ずチャンネルを合わせている。 天気担当の森田正光さんとのやり取りも楽しい。…

逆手に取ることもよさそうだ

“御用納(おさめ)”は25日。その祝いで、与力同心の知り合いも客として集まり、“歳忘れ”と称して延々と・・・。大みそかまで引き続き飲み明かす。江戸の町奉行所の年末年始だという。社会学者・園田英弘さんの著書『忘年会』によれば、天保年間の記録にある…

テレビは創造性を引き下げる

<好きなシェイクスピアの作品を10本挙げろ>。今のディレクターに言っても、出てこないでしょう。名脚本家・倉本聰さんの弁である。 昔のプロデューサーや演出家は、ドラマ・作品のことをよく勉強していた。そして、テレビの現状を倉本さんは心配する。 「…

想像のつく物語を求める心理

新垣結衣さん(ガッキー)と瑛太さんがW主演を務めた映画『ミックス。』(2017年)は興行収入が14.9億円になるヒット作だ。 恋に破れ退職して実家へ帰ったガッキーが元ボクサーの瑛太さんと出会い、反発しながら卓球でペア(ミックス)を組み、地元の卓球メ…

映画に対する言葉や想い入れ

<映画は芝居ではない。ドキュメンタリーである>と語ったのは高倉健さん。「演じる」と「生きる」のちがいについて語ったのはアラン・ドロンさんである。<修行を積んだコメディアンは役を演じる。経験なしからの俳優は役に生きる>。 ビートたけし(北野武)さん…

枷という名のおいしい隠し味

ロケット博士・糸川英夫さんはシステムを称して、米国の人気テレビドラマ『スパイ大作戦』のようなものと著書に書いた。スペシャリストチームが、数々の難関をクリアする物語だ。 昔から、少年たちのヒーローは完全無欠ではない。<いかなる困難、危険も越え…

「俺たちシリーズ」をご存知か

松田優作さんと中村雅俊さんは刑事ドラマ『俺たちの勲章』(1975年4月~1975年9月)で共演している。この作品は、出目昌信さん、降旗康男さん、斎藤光正さんらの錚々たる監督たちが各話を担当し、鎌田敏夫さんが脚本を書いた。 雅俊さんによれば、優…

薄幸系とラブコメの軍配は?

かつて、恋愛ドラマの“王道”といえば、薄幸系であった。不治の病にかかったヒロインとそれを支える恋人などの図式は、映画でもよく使われた。 『赤い疑惑』や『赤い運命』などの“赤シリーズ”は、1974~80年にかけて放送されたTBS系作品で、山口百恵…

やることはバンカラなNHK

下駄を鳴らして奴がくる 腰に手ぬぐいぶら下げて・・・♪ 43年前にかまやつひろしさんが歌ったヒット曲『我が良き友よ』である。作詞・作曲は吉田拓郎さん。歌詞の中にもあるが、往年のバンカラ学生を描いている。ただし、歌われた時代には、そういう学生を…

力が湧くのは悲しい歌らしい

新橋と横浜間に鉄道が開業したのは1872年(明治5年)だという。この時代、日本では二つの時刻制度が併存しており、鉄道は分単位で運行されたものの、人々はまだ、一時(いっとき)[2時間]とか半時(はんとき)という時間の数え方をしていた。 そこで一番短い…

夢を運ぶ箱が映す時代の変貌

“光害”という言葉がある。夜もまぶしい人工光が動植物のリズムを乱す。星空を見えなくしていることの弊害もある。求愛メッセージを送り合う蛍は、明るい人工光のもとで、繁殖がうまくいかなくなる。 日照時間の変化を目安に花を咲かす植物も、成長のタイミン…

懐かしくふしぎなこころ貯蓄

先日、織田作之助さんと自由軒の名物カレーのことを書いたら、ひょんなことでそのカレーを食べた。大阪に住む、うちの奥さんの友達が、自由軒のレトルトカレーをおみやげに下さったのだ。 レトルトといってもお湯で温めるものではなく、スープ状のカレーをマ…

心温まる料理に街並み懐かし

北から南に向かって吹く風を“北風”と呼び、南から北へ流れる潮のことを“北流”というらしい。方向を示す言葉はややこしい。 松任谷由実さんの名曲のひとつに『冷たい雨』という曲がある。“冷たい雨”は、公式の気象用語なのだという。 熱帯で気温の高い地域で…

選ばれても出られない映画祭

<ゆとりでしょ? そう言うあなたは バブルでしょ?>(なおまる御前さん)。第一生命恒例の「サラリーマン川柳コンクール」にて、昨年1位に輝いた作品である。 今年で31回目となるこのコンテストで大賞を獲得したのは、<スポーツジム 車で行って チャリをこ…

喫煙シーンにはイカした音楽

昔の映画は喫煙のシーンが多かった。邦画では、石原裕次郎さんの“くわえ煙草”がカッコいいと、当時の若者にウケたという。年代差はあるが、女性でカッコよく吸うとの評判は、桃井かおりさんだったろうか。 1966年制作のフランス映画『男と女』で、主人公…