日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

成し遂げる人はやばい習性も

 

すごいことを成し遂げる人は業が深く、やばい習性もあるらしい。それは、波乱万丈の振れ幅が、凡人よりも激しいということでもあるようだ。人生の“すごい”絶頂と“やばい”破滅は表裏一体なのだろう。

興味深い話はやはり“やばい”方なのか。『平家物語』に記述される源義経は、“ちびで出っ歯”だといわれ美少年のイメージとは異なるようだ。

卑弥呼は、引きこもりのおばあちゃんだったという説もある。武田信玄は美少年好きで、ラブレターを送りまくってフラれていたり、坂本龍馬は13歳までおねしょをしていたとか。

勝手に美化されていたイメージが裏切られ、英雄たちが我々の身近に感じられてうれしくもある。

 

 

昨年、東大教授・本郷和人さん監修の『やばい日本史』が話題になった。聖徳太子足利尊氏徳川家康など日本史に名を残した偉人たちの表と裏のエピソードが記されていて楽しめる。

文化人では、紫式部清少納言のバトルもあったらしい。面識はなかったようだが、清少納言紫式部の夫の悪口を言ったことで紫式部が感情を害し、日記に<人より偉いとかん違いしてる>などと綴ったそうな。まるで今のSNSの小競り合いみたいである。

徒然草には、法師になって説教で生活しようとした人の話があるという。その人が横道にそれる様子を描いたのは吉田兼好だ。

法事で迎えの馬をよこしてもらっても落馬しては情けないので、乗馬を習った。また、法事の後の酒席で芸のないのは興ざめと考え、歌謡も教わることにした。

 

 

そして、乗馬と歌謡に磨きをかけるうち、説教を身につける時間がないまま年をとってしまったという本末転倒のお話である。兼好は、目標を決めたらその一事に専念すべきなのだ、と説いた。

長嶋茂雄さんが現役のころ、三塁の守備についても自分の打撃が気になりグラブを手にスイングの動作をしたことがあった。有名な話である。

巨人監督・川上哲治さん(当時)はそれを見逃さず、試合後に人前で厳しく叱責したのだ。スター選手も特別扱いをしなかった川上さんの指導を、野村克也さんは著書『エースの品格』で称えた。

指導者の鞭が、人々に“ミスター”と敬愛される稀有の野球人をつくったのだろう・・・と。

上に立つ人が後進に授ける「み」の字はとても深い。“スター”を“ミスター”として天上に輝かせもし、心の未熟を放置して地べたに叩き落としもするからだ。

そういえば、現在の「ミスター・プロ野球」はいったい誰なのだろう?