日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

世間では やばいことが面白い

 

“やばい”の語源は“やば”で、形容詞化して“やばい”になったらしい。意味は、不都合なことや危険なさまをあらわす言葉。

江戸時代から使われて、『東海道中膝栗毛』にも用例があるそうだ。本来は危険で、 悪いことが起こりそうなイメージだが、今は肯定的に使われることが多い。

「これってヤバいですよ!」。うまい料理をほおばった若者がこの言葉を発しても、違和感はない。自分でも、同様の意味で“やばい”を無意識に使っているし、どこかで“やばい話”を小耳に挟めば、思わず興味を持ってしまう。

ファストフード店で、コンピューター画面にて注文。支払いにはクレジットカードや現金も必要がない。備え付けのカメラにほほえむだけなのだ。顔が分析され、身元が確認されればそのまま支払い完了。昨秋、中国でこの実験が始まっているという。

この“顔認証技術”は、私たちが友人を見分けるのと同じことを機械にさせるのだ。

 

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時代劇で下手人を捜す決め手になるのが“人相書き”。方々にばらまき、逃げ道をふさぐ。今は、一般市民の“デジタル人相書き”がネットを介し拡散して、顔認証システムも街中に蔓延(はびこ)ることになるのだろうか。

<この強い性格の王女は男が演じていい>。絢爛豪華な舞台演劇『王女メディア』の演出で、世界に名をなした蜷川幸雄さん。男優が王女に扮する、という演劇界を驚かせたやばいアイデアは、主演・平幹二朗さんの持ち込みだった。

もし顔認証システムが、平さんの王女を顔分析したら、どういう反応があったのだろうか。興味深い。

<私をあなたの芝居に出してくれませんか>。『はぐれ刑事』(1975年)というドラマで主演の刑事役を演じた平さん。撮影の休憩時間に、犯人役の男性へ話しかけた。その人は、考えておくとだけ答えた。蜷川幸雄さんであった。

平幹二朗さんは、古典劇の台本を数々読み込み、確信を抱いたすえの会話だったようだ。

 

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誰もが考えるあたりまえのこと。それを切り離して考えられる人はやばい。不況の底にあった昭和の初め、経営する百貨店の食堂では客がご飯だけを注文した。そして、卓上のソースをかけて食べる光景が広がった。

<ライスだけの客お断り>。食堂の責任者は、無料のソースばかりを減らす客に閉口して、食堂の扉に張り紙をした。阪急グループの祖・小林一三さんは、それを読んで書き直させた。<ライスだけの客歓迎>と。

損は儲けの初めなり。ご飯だけの客が阪急びいきの上客になっていく・・・のだと。目先のそろばんをはじく“頭”はあっても、客の身を思いやる“胸”のない経営者には真似のできない話である。

目先のそろばんをはじくのは、今の政治家にもいえそうだ。国民の身を思いやる“胸”のないセンセイたちには、やばい気持ちがいっぱい。ちなみにこちらの“やばい”は、<危険で、 悪いことが起こりそうなイメージ>の意味なのであるが・・・。