授かった2つの耳と1つの口
<この面相で、この脳みそで、この運動神経で、この環境で・・・。どうやって面白く生きていこうかってのが、人生だと思うんですよね>。俳優・山崎努さんの言葉だったろうか。
人は自分の気づきたいことしか気づけない生き物だという。
人間術として勉強させていただいたのは、『逆転の発想』の糸川英夫さん、『逆発想』の竹村健一さん、『私の知的鍛練法』の竹内均さん、『知的生活の方法』の渡部昇一さんたちで、多くの著書を読ませていただいた。頭のいい人ほど、物事を噛み砕いてくれる。
古代ギリシャの言葉らしい。<天は人に2つの耳と1つの口を与えた。だから話すことの2倍だけ聞かねばならない>と。
格言や名言にも、“話す”ことより“聞く”ことに重きを置いたものが多い。口は自分の声を外側に押し出すものであり、耳は他人の声を内側に受け入れるもの。だから、耳の使い方は難しい。
利害の反する2人を前に、片方の耳を閉じて一方の言い分のみを聞き入れたばかりに、取り返しのつかない結果を招くこともある。
夫婦間の暴力や児童虐待、子から親への暴力、ストーカーなど、かつては近所のおじさんやおばさん、学校の先生や職場の上司、同僚が仲裁して円満に解決していた。
(核家族化とともに)24時間型社会になり、深夜に出歩く人も増えた。人の動きがあれば事件や事故も起きる。警察なら人がいるからと夜間にも困りごとの相談が絶えないとか。警察の分担領域がどんどん広がる。
昨年に全国の警察が摘発した“親族間の殺人事件”は418件で、全体の殺人事件での47.2%を占めた。殺人事件の半分は、家庭内で起こっているのである。
「同族嫌悪」という言葉があるらしい。自分に似た容姿や性質を持つ人に対して抱く悪感情で、鏡に映るもう一人の自分を見ているようで、いたたまれない気持ちになる。とはいえ、自宅にいても落ち着けないのは困りものである。
殺されるのはゴメンだが、だれもが死からは逃れられない。病気に苦しむことなく、元気に長生きし、最後は寝付かずにピンピンコロリ(ぽっくり死)を望む人は多いようだ。
ある緩和ケア研究振興財団が一昨年の12月に、インターネットで全国の20~79歳の男女1000人を対象に、“死に方”のアンケートを行ったという。
理想の死に方について全体の78%が「ぽっくり死」と回答し、60歳代は89%に達した。また、「病気などで徐々に弱って死ぬ」と答えたのは22%だった。
配偶者とどちらが先に死にたいかで「自分が先」と答えたのは、既婚男性78%で既婚女性は50%。先立たれて心配なこととして、「家事をきちんと行えるか」が男性で、女性は「悲しみから立ち直れるか」が最多とのことだ。
余談だが、「天文学者の99%は宇宙人がいると思っている」という記事を見た。これだけ宇宙が広ければ、宇宙人も必ずいる。我々だけが特別ではない・・・のだと。まったく同意見である。さて、宇宙人も“2つの耳と1つの口”なのだろうか。