日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

薄幸系とラブコメの軍配は?

 

かつて、恋愛ドラマの“王道”といえば、薄幸系であった。不治の病にかかったヒロインとそれを支える恋人などの図式は、映画でもよく使われた。

赤い疑惑』や『赤い運命』などの“赤シリーズ”は、1974~80年にかけて放送されたTBS系作品で、山口百恵さんが薄幸ヒロインを演じていた。私の記憶では、父親役が宇津井健さんで、恋人役が三浦友和さんであった。

不治の病や出生に秘密があるヒロインが、運命に翻弄されながらも健気に生きていく姿がウケて、高視聴率を記録した。

90年代になると、『高校教師』などの路線で、野島伸司さんの脚本による一連のドラマが脚光を浴びることになる。

 

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「同情するなら金をくれ!」の決めゼリフで有名な『家なき子』(1994年)あたりから、“薄幸ど真ん中"ドラマの流れが変わり始めたらしい。

安達祐実さん演じる少女は、薄幸ではあるが“健気"ではない。この作品では、しぶとくてたくましく生き抜く少女の姿が徹底的に描かれ、リアリティが評価されて高視聴率を獲得した。

今は“暗い結末"が予想できるドラマを10~12回も視聴し続けるのは、難しくなっているという。視聴率を上げるために、1話完結形式のドラマが多い中で、最初から最後まで不幸なヒロインが主人公というドラマは作りにくいのだ。

視聴者も同情の涙を流す前に、リアリティのなさがコメディっぽく映ってしまう可能性もある。逆に『逃げ恥』のような現代の恋愛の形を体現するラブコメものが高視聴率を上げている。

 

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1960年代からはじまるNHKの朝の連続テレビ小説では、戦争や貧困に絡んだ女性の物語が多く、薄幸系ドラマは“定番"だった。そこが苦手で、私はほとんど観ていない。

先月のことであった。配信番組で何気なく見つけた朝ドラにハマった。主人公を取り巻く人たちはすべていい人ばかり。それなのに、おもしろくてたまらない。<悪人の出ないドラマはおもしろくない>との定評を見事に覆してくれた。

『てっぱん』というドラマである。2010年9月27日から2011年4月2日まで合計151回にわたり、NHKで放送されていた連続テレビ小説

おもしろすぎて次が観たくてたまらない。全編を何日間かで一気に観た。観終えて完全に“『てっぱん』ロス”状態に陥った。

ヒロインの瀧本美織さんを取り巻く役者さんたちすべてがすばらしい。富司純子さん、安田成美さん、遠藤憲一さん、竜雷太さん・・・など名優ぞろいである。

富司純子さんの大阪弁で温かみのある毒舌がたまらない。なんて演技の上手い人なのだろう。毎回、毎回 この女優さんから目が離せなくて、私にとってはこの方が主役であった。

そして、長田成哉さん。デビューされて一年後くらいの出演らしいが、楽しませてもらった。長田さんを知ったのは『科捜研の女』の再放送であった。大好きな石川遼さんに似ているというのが第一印象。ヒロインににプロポーズをする長距離ランナーを演じて、なかなかカッコよかった。