日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

映画・テレビ・ラジオ

食事の場面でわかる名優の味

断崖絶壁で追い込まれ、犯行を自供する犯人。前場面はアリバイ崩しだ。怪しいと思える人物は殺される。2時間サスペンス(ドラマ)の鉄板である。それも今、崖っぷちに立たされ消えゆく番組が多い。 通称“土ワイ"の『土曜ワイド劇場』(テレビ朝日系)は昨年4月…

仙人のように飄々とした監督

昨年2月に93歳で亡くなられた鈴木清順さんは映画監督であり、俳優としても映画やテレビドラマで多くの作品に出演している。元NHKアナウンサー・鈴木健二さんの兄でもある。 日活時代の監督作品は40本で、デビューから数年間は赤木圭一郎さんや小林旭…

映画・ドラマ創りの今昔物語

<映画は芝居ではない。ドキュメンタリーである>。高倉健さんの言葉である。こころを揺さぶられる映画は意外に淡々としている演出なのではないか。『フィールド・オブ・ドリームス』や『マディソン郡の橋』等はそのような印象である。 監督としても多くの名作を…

映画向きな情緒的時間帯とは

“深夜”のイメージは人それぞれでちがうだろう。飲み歩いていた頃は終電を意識する午後11時から午前0時過ぎくらいが深夜だった。今はもっと遅い時間になっている。 深夜に日付や曜日がからむと、その日が始まる午前0時から夜明け近くまでか、当日の夜遅く…

年末年始は「Y&G」に釘付け

この年末年始を振り返るとテレビ放送番組の視聴件数はかなり減っている。やはりネット配信の影響なのだろう。ただ、予想外にハマッた番組が2件ある。 バラエティ特番で、X JAPANのYOSHIKIさんの出演番組がいくつかあったが、どれも楽しかった…

脇役の輝きから磨かれる主役

音楽と映画・ドラマは同じ時間芸術。だが、受ける感覚はちがう。好きな楽曲なら繰り返し聴くが、映画・ドラマはほとんど一度きり。観返したとしても、音楽よりはるかに少ない。 音楽作品は映画・ドラマより短時間であるが、受け手の脳は異質なメディアと捉え…

やすらぎ、オレンジデイズな郷

テレビドラマがヒットといわれる基準は、視聴率10%を超えるかどうか、にまで下がっている。脚本家・倉本聰さんによると、駄目になったのはトレンディードラマからだと。 地べた目線でドラマの脚本を書くのが信念である倉本さん。「(作り手たちが)自分の生…

どこで観ても映画は映画なり

数字で表す“視聴率”とは別に、どれだけ熱心に番組が観られ、視聴者の心に深く残ったかを示す指標を「視聴質」というそうだ。 多くの人がどれほどテレビ番組を観たか、という視聴率に代わるのが視聴質である。 どのように番組がおもしろがられているかを評価す…

演出の巨匠たちは素顔がいい

<大事なことはたいてい面倒くさい>。宮﨑駿さんの名言だという。 「創りながらテーマを見つける」、「台本がない」、「少しずつ創っていく」などと、宮崎監督独特の創作法もあるらしい。 そして創作中、宮崎監督から頻繁に出てくる言葉が「面倒くさい」。途方もな…

今日の夕日は明日の昔なりき

<昨日は今日の古(いにし)へ 今日は明日の昔>。室町時代の歌謡集『閑吟集』の一編だという。 時の歩みは速い。今日から見ると、昨日は遠い過去になり、明日から見れば、今日は遥かな昔・・・なのだと。 日が沈むと、その日の終りを肌で感じる。 「映画ではシ…

4Kデジタル・リマスター版

<哲学が束になってかかろうとも、タバコにまさるものはあるまい>。モリエールの戯曲『ドン・ジュアン』の一節だという。 1904年(明治37年)の7月に、タバコの専売法が施行された。本居宣長の歌にある「敷島の大和ごころを人問わば朝日ににおう山ざく…

山田洋次監督に学ぶ温故知新

若かりしき頃、松竹映画の喜劇監督・前田陽一監督と一度だけ、酒を飲みながら話をしたことがある。 当時、寅さんシリーズで活躍中だった山田洋次監督の話になり、前田監督は「ボクの方があの人より上なんですよ」と言った。 <山田さんは“ヨウジ(次)”でボクは“…

大人の月9主演 やはりあの人

人気の高いBS番組のひとつ『吉田類の酒場放浪記』(BS-TBS月曜夜9時放送)は、酒好きが愛してやまない番組であり、酒飲みの間では「月9」とまで称されているとか。月9でトレンディドラマを見ていた世代が年齢を重ね、BSの月9を見ているのだ。 番組…

マニアックなドラマの観かた

深浦加奈子さんという女優は、様々な役柄をこなし名脇役と評された。惜しくも、2008年8月に48歳で亡くなられた。 舞台を中心に活動を始め、テレビドラマ『家なき子』や『スウィート・ホーム』での演技で広く認められるようになった。今も、人気ドラマ…

鏡をのぞけばそこに寅さんが

寺山修司さんいわく<駅と書くと列車が中心で、停車場と書くとにんげんが中心という気がする>。 同じ意味の駅と停車場。列車とバスのちがいはあれど、停車場には和気あいあいとした集合風景が浮かんでくる。その中心にいてくれたらいいのが寅さんのような“…

殺しの免許証といえば007

ジェームズ・ボンドが大活躍の映画“007(ダブルオーセブン)シリーズ”は誕生から53年。半世紀を超えたことになる。イギリスの諜報員であるボンドは、絶体絶命のピンチでもユーモアを交え、クールに切り抜ける。 作者はイギリス生まれの冒険小説家であるイ…

テレビの本質はハプニングなり

英文学者、文明批評家・マーシャル・マクルーハンさんのメディア理論によると、テレビはクールメディアだという。映画は、1枚の画を元に動画表現されるのに対し、テレビは細かい粒子のつながりで元の画を作る。 ホットメディアの映画に比べ、不安定さで成り…

季語にならぬは「人の恋」である

おもしろい話を訊いた。「猫の恋」は春の季語なのだが、「人の恋」には特定の季節はないという。 そのわりには、恋愛を軸としたテレビドラマが減っているような気がしてならない。4月から始まった各連続ドラマも、終焉に向かいつつある。視聴率についても先が見…

流行りドラマで垣間見る現在

「倍返し」なる流行語が生まれたのは一昨年のこと。銀行内での権力闘争をケレン味たっぷりに描かれたテレビドラマ『半沢直樹』は、最高視聴率42.2%を叩きだした。以降、2013年~14年の2年連続、高視聴率で貢献したのが『ドクターX』である。こちら…

素敵なヨコハマ物語に感謝を

昨年末、私は『ハマのメリーさんをご存知か』という記事を書いた。そして、その翌日に『ヨコハマメリー』という映画を観た。ちょうど丸1ヶ月前のことである。 自分より若い世代の中村高寛(たかゆき)監督が、あのメリーさんをどう描いているのか、たいへん…

映画界を支えてきたアナログ技術の職人芸

2013年4月、ある映画照明技師の訃報が伝えられた。熊谷秀夫さん。84歳であった。多くの映画人にとって、忘れられぬ存在の人である。1948年に大映京都撮影所に入所して、55年に日活東京撮影所に移籍。81年からフリーになった。 生涯を通じて照…

『俺たちの旅』は俺たちになぜあんなにウケたのだろうか

1975年10月から始まったドラマの人気がすごかった。毎週日曜日20:00~20:54に放送され、友人と外で遊んでいても、この時間に帰るという者が続出であった。まだ、ビデオテープレコーダなどが家庭に存在しない時代であった。 私も観てみるとおも…

メディアこそがメッセージでメディアは質ではなく量で発展する

<メディア・イズ・メッセージ>とは、カナダの英文学者で文明批評家のマーシャル・マクルーハン(1911年~1980年)が唱えたメディア論である。 話の中身はコミュニケーションのわずか7%のウエイトで、初対面のイメージは7秒で決まる。残りの93%…

メロドラマとは日本映画界の造語だとずっと思い込んでいた

"メロドラマ"の定義は、<視聴者をメロメロにさせようと意図して作るドラマ>のことなのだ、と勝手に解釈していた。しかし、調べてみるとそれはちがうようであった。メロドラマとは、<愛し合いながら、なかなか結ばれない男女の姿を感傷的に描く>ギリシャ語のメロス(…

ビリー・ワイルダー作品がおもしろすぎて目を離せない

数々の名作を残した映画監督で脚本家のビリー・ワイルダーは、晩年のアカデミー賞授賞式で50年以上も昔の一言に感謝した。 ナチスの迫害から逃れようと、欧州から米国へ移住する際、メキシコの米領事館でビザを申請した。送還されれば命を失う危険のため、不安な…

マリリン・モンローと『アナと雪の女王』を続けて観ると

今になってマリリン・モンローの良さに気が付いて、出演映画の作品を観漁(あさ)っている。“モンローだらけ”のレンタルDVDの中に『アナと雪の女王』を放り込んでみると、新旧の“ヒット作”の取り合わせが絶妙におもしろい。 “アナ雪”では「日本語吹き替え版…

“おもしろいこと探し”に没頭するのはいいことなのである

おもしろいドラマやバラエティというのものは、構成がとてもわかりやすい。観ていておもしろいと感じるものは、人それぞれの好みにもよるが、わかりやすいということがまず大事だと思う。 『マツコ&有吉の怒り新党』という番組は、見逃してもいいように毎週…

涙の沸騰点はどのあたりにあるのだろうか

映画やテレビドラマのシナリオでは、泣かせるものを書くよりも、笑わせるものを書く方がむずかしいといわれる。人間は笑うことのセーブはしやすいが、泣くことにはもろいのかもしれない。そういうことの意識からか、私は悲しい作品より笑える作品が好きであ…

俳優・岸部一徳さんはなんて恰好いいのだ論

岸部一徳さんという役者は名脇役だと思う。役者としての転身は、1975年の連続ドラマ『悪魔のようなあいつ』に出演したのがきっかけだとか。 このドラマの主演は、沢田研二さんである。グループ・サウンズ(GS)のザ・タイガースで、ふたりは4年間一緒に…

恋愛ドラマに欠かすことのできない隠し味

「起承転結」で「承」が、ボディブローのように効いてくるドラマが好きである。その「承」とは、物語の構成だけにとどまらず、要素のような部分においてもいえる。 刑事ドラマと医療ドラマが多いといわれて久しい。最近はそれに加えて銀行ドラマもありそうだ…