日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

想像のつく物語を求める心理

 

新垣結衣さん(ガッキー)と瑛太さんがW主演を務めた映画『ミックス。』(2017年)は興行収入が14.9億円になるヒット作だ。

恋に破れ退職して実家へ帰ったガッキーが元ボクサーの瑛太さんと出会い、反発しながら卓球でペア(ミックス)を組み、地元の卓球メンバーとともに練習に励み、大会での勝利を狙う。

内容は、この予告編を観た多くの観客が想像するとおりの展開で、本編も進行していく。鑑賞後の感情はきっとこのように・・・という観客の期待は、はずれることがない。

“想像のつく映画”を、観客は求めるらしい。観る前から“展開”と“結末”が想像できる映画を観客の多くは好む。そして、観た後に自分が陥りたい感情に浸るために安くもない鑑賞料金を前払いする。観客は料金の投資に見合った見返りを求めるのだ。

 

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なにかの用事で、観光地でもない街に初めて訪れるとき、個人経営の食堂よりも、ファストフード店やファミレスといったチェーン店に足を運びがちになる。いつも食べている店ならば、どの程度の味と満足度が食後に訪れるかを、食べる前から正確に予想できる。それに、料金の予測がつくため落ち着ける。

観る前から展開や結末の想像がつく映画も、食べる前から味の予想が立つ料理を出す店に似ている。予想通りでつまらないということではなく、約束どおりにいつもの味が楽しめる安心感のようなものがある。

日本人は年間で1.4本しか映画を観ないという。それだけに、作品選びも慎重になるのだろう。テレビ番組は、必ずしも主体的に見られているわけではない。仕事や学校から帰るとチャンネルを“とりあえず”合わせる。

居間の景気づけや時報がわりにしていることがよくある。テレビ番組とは日常の延長線上であり、疲れるほど真剣に観ることはめったにない。

 

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日本人のテレビとの接し方も様変わりしていて、自分でチャンネルを選ぶ“能動的視聴”よりも、流れにまかせる“受動的視聴”を好む人が増えているようだ。

私は、映画館で映画を観なくても、動画配信サービスになってから(通常のテレビ番組よりも)能動的視聴で、映画の視聴本数も増えている。

それらのサービスには3つのプロトタイプがある。

Amazonプライムやネットフリックスのように、利用者が自分の見たいコンテンツを、ラインアップの中から随意に取り出して観る“オン・デマンド”。Youtubeのように、利用者が自分たちの作った映像をアップし、それを他の利用者が見る“共有”。映像作成者がリアルタイム的に流している映像を利用者が見る“ストリーミング”。

AbemaTVなどはストリーミングの系列に属して、従来のテレビの手法で独自のテレビ放送を、配信の世界に持ち込んだ“疑似テレビ”ともいえる。そこで強調されるのは、“同時性”なのだ。“オン・デマンド”と“ストリーミング”に比べると、“受動的視聴”が売りのようである。