日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

豊かになっても人々は忙しい

 

“タフガイ”が石原裕次郎さん、“マイトガイ”は小林旭さん、そして“トニー”こと赤木圭一郎さん。もうワクワクしてくる。そこへ“キッド”の和田浩治さんを加えて「日活ダイヤモンドライン」と名乗った。日活は1960年代にこの4人の主演作品をローテーションにして大入りを取った。

無国籍な世界とアクションを求め、熱狂した時代があった。今は配信のアマゾンプライムで当時の作品をたくさんテレビで観られて楽しい。画面に映る各地の風景は(東京も含め)とてものどかで懐かしい。

あの当時を遡り、1950年の第1回お年玉付き年賀はがきの特等賞品はミシンだったという。ミシンの価格は約1万8千円で、会社員の初任給3千~4千円と比べても高級品であったそうな。その時の1等は純毛洋服地で2等が学童用グローブ。

 

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敗戦の混乱が残る1949年に、この制度を考えたのは京都に住む民間人だったという。家族や親類、知人の間でも消息がわからない人たちが多くいた。戦前の年賀状が復活すれば差出人、受取人ともに消息をわかり合える。

さらにお年玉を付ければ多くの人が利用するし、寄付金を付けると社会福祉にも役立つ。その思いから、旧郵政省にアイデアを持ち込んだのだ。

最高賞品の推移でも世相を反映しているらしい。1956年に電気洗濯機、74年にはラジオ付きカセットテープレコーダー。そして84年には電子レンジも登場。

今は物に溢れる時代なのか、定額を払い一定期間のサービスを受ける仕組みのサブスクリプションなるものが、インターネットでの音楽聴き放題や映画・ドラマなど動画の観放題なども主流になりつつある。現物ではなく利用権を買う方式なのだ。

さて、作家・山口瞳さんは大の左党であり、行きつけの店を学校に例えていたらしい。味だけでなく、働く人の仕事ぶりも知ろうとした。多くを学び取り、珠玉の文章のヒントにしたという。

 

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山口さんいわく<従業員の気ばたらきのいい店の料理は、これはもう間違いなく美味なのである>とのこと。そして、とくに好物でないものを出す店でも、人が気に入ればとことん通った。店主の人柄が気に入る人もいれば、店の雰囲気に引かれる人もいる。

そうなれば週1回が3日に1回、1日おきとなり、気が付けば毎日と。そんなパターンが多いらしい。

現在はとくに、サービスの充実が労働時間を増やし、忙しくなった人たちはよりきめ細かなサービスを求められるようになる。すると労働時間がどんどん増えていく。

便利な社会になった裏で、コンビニエンスストアファミリーレストランの24時間営業や商品の即日配送などが、そんな循環で取引先企業を巻き込んで根付いていったのだろう。

日本流サービスの心地よさは海外にも響き渡り、米コンサルティング会社がまとめた2019年版「世界で評判の良い国」では日本が11位だった。

1~10位は福祉政策の充実した欧州勢が中心で、日本より経済規模の大きな国はないという。

“豊かな国”の日本も、サービス充実に行き過ぎたところもあり、払った犠牲は小さくない。たしかに家族連れのいない真夜中のファミレスもどこか不思議だ。最近始まったサービス見直しの動きも、なにかチグハグなような気もする。