日日平安part2

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人工知能の転移学習は短時間

 

賢い人工知能(AI)の知恵を別のAIに転用するという「転移学習」の研究が進んでいる。『黒柳徹子さんを再現』との記事が3日前の日経新聞にあった。

AIの進化を加速する技術は、わずかな知識を後から追加するだけで、専門分野に強いAIを作れるのだ。転移学習は、AIをゼロからつくる必要はない。膨大なデータをあらかじめ学んだAIから学習モデルを引き継ぎ、わずかな現場データで再教育するしくみである。

東北大学は、細かいニュアンスで答える対話システムの構築で、ツイッターの370万件の書き込みから対話の基本を備えたAIを作った。そして、転移学習で別のAIに移し黒柳徹子さんの出演番組を参考に1万2000件の発言を教えた。

 

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完成したAIは「お仕事行ってきます」に対して「いってらっしゃいませ」との応答で、黒柳さんのような言い回しが表れたのだ。「突然の雨です」等に対しては「あらびっくりしました」と返した。

ツイッターのデータだけでは雑な表現になり、黒柳さんのデータだけでは自然な応答ができなかった。しかし、基礎知識の上に専門知識を加える転移学習がAIを進化させたという。今後、性別や方言により異なるニュアンスを表現できる対話システムを目指す。

転移学習については、先月中旬にもおもしろいニュースが入った。米グーグル系企業が囲碁の完璧なAIを開発したという。そのAI「アルファ碁ゼロ」は(世界のトップ棋士を次々に破ってきた)AI「アルファ碁」と100回戦い、全勝した。

学習力がすごくて“定石”を一切習わず、AIとの対戦のみを繰り返し、わずか3日で身に付けた能力だという。今回は人が手本を示すことなく、AI同士の対局を繰り返し、独学で勝率の最も高い打ち方を編み出した。そして、アルファ碁も圧倒し、人間を含めて史上最強になった。

 

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AI「アルファ碁ゼロ」は実験40日後に自己対戦数が2900万局に達し、人間が長年の囲碁の歴史で考案した“定石”も独自に発見した。前の「アルファ碁」が世界最強棋士に勝利した際、「人間と対局するのはこれが最後」としていた。その後の改良では「人間に一切頼らないAI」という目標があった。

それまで、人間の対局データを“教師"として学習したため、人間の積み重ねた知見の延長線上の強さにすぎないとの指摘もあった。AIがゼロから独学する“教師なし学習"により、人間の発想にとらわれない革新的なAIが生まれた。

この新技術は将来、産業に貢献する可能性があるため、役立つヒントを見つける働きが期待されている。様々な電力使用のデータをもとにした省電力にも役立つ。また、教えるデータがなくても学べるため、宇宙や海洋など測定データの不足した分野にも役立つ可能性がある。

それにしても、AI同士で勝手に成長されると、人間の這い入る余地が削られる。かえって、人間が入るとAIからジャマ扱いされそうだ。人間はどうしたらAIから気に入ってもらえるのだろうか。