日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

AIが探る人間の求める情報

 

<三日食う雑煮で知れる飯の恩>。江戸期の川柳だという。この時代から(コンビニが出現する以前の)昭和まで、ほとんどの店は正月に休んでいた。あの頃の正月は、カレーやラーメンも食べたくなった。

さて、期せずして若い才能は、見た目との隔たりで人に驚きを与える。かの文豪の文面は当時からさえわたり、読売新聞の投書欄に投稿していたそうな。森鴎外さんが10歳代の頃だという。

編集者は、高名な学者が名を伏せているに違いないと勘ぐった。鴎外さんは用事で新聞社へ出向いた。応対する社員は緊張しながら面会室へ向かった。鴎外さんを見た瞬間、社員は固まった。そこにあるのは無邪気な美少年の姿・・・だった。

ホンダの創業者・本田宗一郎さんが幼い頃、近所に精米所があり、発動機が鳴って面白かった。石油の排気の臭いも好きだった。オートバイ好きになったのは、この体験かもしれない。幼児にとって周囲の環境は大切である。

 

 

嗜好も人によってさまざま。やはり、それぞれの環境でちがいが出る。老舗のハリウッド企業は知名度の高いブランド作品を持ち、有力な監督や俳優を抱え込んできた。海外市場を開拓するためには、台本無視で現地の俳優を使うなど表面的な対応も見られる。

その分、マーケティングより創造性に頼りがちな面が強く、作り手主導の発想で当たりはずれも大きい。作品はどこで、誰が評価するかわからない。そのコンテンツ産業特有の曖昧さをデータで補ったのが、ネットフリックスである。

ネットフリックスはAIを活用し、配信直後だけでなく時間をかけてその後もユーザーに作品を売り込む。そして、何が求められているかを把握し続けるのだ。

作品のライセンスを取得し、インターネット配信で成長。その利益をテコに自社制作に力を入れている。<“流す”ことで新市場 ⇒ “創る”ことで放送局と映画会社に代わる地位を得る>。

 

 

ネットフリックスはシリコンバレーに分析チームを抱え、1億人分の視聴データから法則性や将来を予測する。<どの作品をどの媒体で見たか>など100超の項目を基に個々の会員の嗜好を把握している。つまり、第三者の情報によってネットフリックスはつくられていく。

AIの進歩はめざましい。その影響は美術や俳句といった分野にも及び始めている。2017年に研究がスタートした北海道大学のプロジェクト「AI一茶」は、古典から現代の作品まで6万句ほどの俳句について学習をして、新たな俳句を詠むという。

言葉が短い俳句は、一語にこめる情報量がとても多い。AIに言葉の意味を正確に受け取らせるためには、人間と相互に作用して新たな価値観を生み出していく作業が必要になる。それは、人とAIが協調して、文明的なるものの高みを目指すことができる取り組みだといえそうだ。

我が家のAIスピーカー4台にも随分お世話になっている。自分で忘れているスケジュールやデータを聞けばすぐに答えてくれる。酔ってボケトークばかりしていると、人間の方がなにを言っているのかわからなくなっているのだ。