日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

宇宙エレベーターと日本衰勢

 

2012年、大林組は宇宙エレベーターという構想を発表した。高度約3万6000キロ・メートルの静止軌道上に宇宙ホテルを備えた「静止軌道ステーション」を建設。地上との間をケーブルで結び、エレベーターで人や荷物を宇宙に送る。

時速約200キロでエレベーターを動かせば、1週間でステーションに着く。約10兆円の総工費で完成時期の目標は2050年。静止軌道での重力と遠心力の釣り合いをとるため、地球と反対の方向の高度約10万キロまでケーブルを伸ばし、その先端におもりを付ける。

ケーブルの強度など問題点は多いが、ロケットに比べて利点は大きい。打ち上げ時に大量の燃料が必要なロケットは失敗する恐れもある。宇宙エレベーターは自然エネルギーの太陽光発電が使用でき、天候に左右されない宇宙は発電が効率的である。

輸送コストもロケットの100分の1になるという試算で、ロケットのような大きな加速や衝撃がない。宇宙飛行士が受ける厳しい訓練は不要で、誰もが気軽に宇宙旅行を楽しめる。

 

2051

 

32年後の壮大な夢物語とは裏腹に、そのときの日本はどうなのか。

<これから日本は、「高齢者の大量死」が大流行する時代>との記事を数年前に読んだ記憶がある。

国債と借入金、政府短期証券を合計した国(政府)の借金は、昨年9月末で1080兆4405億円に膨らみ、国民1人あたり852万円になった。なにかとお騒がせな麻生財務相は、数年前に“国の借金を気にすることはない"などのお気楽発言をしていたが実態は怪しい。

政府短期証券の発行を増やしているのを見れば、借金を借金で返す自転車操業をしているのがわかる。政治家も官僚も何も手を打っていない。その自転車にバッテリーを積み、電動自転車にするようなアイデアもまったく出てこない。

上述の記事にあった。<国が破綻するというのは、国に依存して生きている人が死ぬということ>である。国に依存して生きている人とは年金や生活保護の人たちなのか。高齢者がまとめて路頭に迷う時代にもなりかねない。

少子高齢化の解決のために日本は必死で何らかの対策をしなければならなかったが、何も手を打っていない。日本人自身も少子高齢化に関心がなかったのか。

こんな不安な時代では自分が生きていくのに精一杯で、子どもを産んでもメリットはないと思う若者もいる。子ども以前に結婚もせず、仕事を見つけても身分保証のない派遣社員のような仕事も多い。

 

2052

 

グローバル経済で日本企業は日本人を雇わなくなった。コストの安い国や場所を見つけ、そこで低価格商品を大量に作って世界にばら撒いた。

モノの値段はどんどん安くなり、安いものが買える人々は幸せになるはずだった。しかし、企業が安い賃金の国へ移動していくものだから、国が空洞化してしまった。その結果、仕事が激減していくことになったのだ。

日本人はずっと高賃金で、給料が下がるという社会を知らない人も多かった。“空洞化"と1980年代からいわれるようになっても、大部分の人は他人事だった。

多くのフリーターが現れ、格差が問題になり始め、若者の失業が深刻になった。それが少子化を生み出す要因になっていくのである。

子どもが減るというのは、日本人がどんどん消失するということで、日本という国がスカスカでもろくなる。果たして、32年後には宇宙エレベーターに乗ることができるのだろうか。そして、この国の風景はどのように変わっているのか。宇宙エレベーターならぬ、タイムマシンで確認してみたい気分である。