日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

素晴らしき哉 ベンチャーズ!


自然に聴いてしまう音楽がある。とくに、夏になると聴きたくなる。本能的に聴いてしまう音楽なのである。初めて聴いたエレキギターと数々の楽曲。今でもよく聴いてしまう。ビートルズも聴いたけど、好きで聴きたくなるのはやはりベンチャーズ

クロマチック・ランといわれる“テケテケ"で有名なあの奏法が、たまらない涼しさを運んでくれる。数年前、念願だった『青春デンデケデケデケ』という映画をDVDで観ることができた。1960年代の四国・観音寺市を舞台に、ベンチャーズの影響を受けた5人少年が高校入学後ロックバンドを結成し、ロックに明け暮れる物語である。

原作者・芦原すなおさんによると、題名の『デンデケデケデケ』はベンチャーズでおなじみのクロマチック・ランの音で、通常は「テケテケテケテケ」と表現されるのだが、代表曲『パイプライン』のそれは「デンデケデケデケ」そのものであるとのこと。

 

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サウンド構成のシンプルさがまたたまらない。リードギターリズムギター(サイドではなくあえてこう呼ぶ)。それにベースギターとドラムスでのスタートであった。その後、キーボードの加わった時期(1969年~1972年)もあったが、各楽器音がわかりやすく聴きとれる。

演奏楽曲も耳になじんだものばかり。サウンドだけではなく、すべてにおいてシンプルであるため、こころが薄着になれる感覚なのだ。厚化粧コテコテのコンピュータ音にはないアナログ性のよさなのであろう。

日本のエレキブームの発端はベンチャーズで、彼らの曲をコピーしたインストゥルメントのアマチュアエレキバンドが多く登場。テレビのバンドオーディション番組『勝ち抜きエレキ合戦』を、楽しみに視聴したのも懐かしい。

エレキサウンドもその後変貌して、ビートルズの爆発ヒットでオリジナル楽曲のボーカルグループが全盛となっていく。そして、あの“テケテケ"サウンドも姿を消し始めていく。

 

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結成メンバーは、ドン・ウィルソンさん(リズムギター)とボブ・ボーグルさん(ベース、初代リードギター)のふたりである。1959年、ドンさんとボブさんは「インパクツ」や「ヴァーサトーンズ」のバンド名で、リードギターリズムギターのデュオとして活動を始めた。

しかしバンド名はすでに使われていたため、ドンさんの母親の提案で「ザ・ベンチャーズ」と名乗るようになった。

当初は、リードギターリズムギターを曲により交代していたが、その後のスカウトでベース、ドラムスのメンバーが正式に加わり、基本である4人体制となった。フェンダー社製のストラトキャスターを使用していたのは有名な話である。

 

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結成メンバーでリーダーのドン・ウィルソンさんが、今年でベンチャーズを引退することを発表した。1933年生まれというから、昭和一桁生まれの82歳である。
日本では長く人気を保ち、来日回数は60回を超え、日本での公演回数も2,600回を越えた。

“日本公演2015”はドンさんにとって最後の演奏となった。おそらく、日本人より日本の良さをご存知の方だと思われる。ベンチャーズを率いて、日本レコード大賞企画賞受賞(1970年)、NHK紅白歌合戦出場(1991年)、日米交流150周年記念外務大臣賞を受賞(2004年)、旭日小綬章を受章(2010年春)など、日本でも大活躍である。

あれから半世紀以上。メンバーだったメル・テイラーさん、ボブ・ボーグルさんはこの世を去った。今では、かつてのメンバーの二世がメンバーとして活躍している。
メルさんの息子、リオン・テイラーさんである。そして、来年からはボブ・スポルディングさんの息子、イアンさんがベンチャーズでベースを担当するという。

 

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ドンさん最後の日本公演2015(ドン・トーキョー・ラスト・コンサート)では、『ツァラトゥストラはかく語りき』(2001年宇宙の旅)がテーマとして会場を包みこみ、緞帳が上がった。

オープニング曲の『クルーエル・シー』のあと、リオン・テイラーさんのニホンゴ挨拶で館内はいつもの雰囲気に引き戻される。日本に馴染みの曲も当然、演奏してくれる。
『京都の恋』(原題はEXPO ‘70)、『ブラック・サンド・ビーチ』(加山雄三さんの曲)、『二人の銀座』・・・。

ドンさんに代わり来年からベンチャーズに加わる新メンバーのイアンさんを交え、5人での『10番街の殺人』。ここでイアンさんは“テケテケテケ”を披露した。

一方の二世であるリオンさんも、素晴らしいドラミングを披露した。彼のプレイで始まる『キャラバン』である。父親のメルさんに負けず劣らずのソロ・パートに大きな拍手。
父親の来日回数は26回だけど、リオンさんはそれを10回もオーバーしている。

若返るベンチャーズを確認するように去りゆくドン・ウィルソンさん。その優しいまなざしが、私の頭の中に浮かんだまま消えない。

 

 

今週のお題「私のテーマソング」