日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

腑に落ちないこの師走の連鎖

 

気温の低い日も増え冬支度は進む。わが家でも年賀状を買った。
作家・池波正太郎さんは、千枚近くの年賀状を、初夏の頃から少しずつ書き進めていたとか。<誠意をこめてつくらなくてはいけない>と、『男の作法』で説いている。
年賀状離れが目立つ昨今、誠意をこめて“LINE”や“スマホ・メール”を打ち込む方たちもいらっしゃるかも知れないが。

十数年前の年末、職場の大掃除で「これもついでに投げておいて下さい」と言う者がいた。その言葉の意味が理解できなかったことを思い出す。その人は北海道出身の方で、地元では「捨てる」ことを「投げる」と言うそうなのだ。

なにかで読んだが、放送局などの隠語に「ワラう」があるとか。片づけることを指すそうだ。「そこの火鉢、ワラってくれ」とディレクターに命じられた新米の局員が、「ハハハ」と火鉢に笑いかけた話があるとかないとか。
去りゆく一年も顧みて笑えるのであれば、物事はすでに片づいた証拠である。
さて、今年はどうだろう。

 

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師走の恒例[新語・流行語大賞]で、昨年の大賞は「今でしょ!」、「お・も・て・な・し」、「じぇじぇじぇ」、「倍返し」、と過去最多の4語が選ばれた。

あれから一年。早いものである。
今年の大賞は、「ダメよ~ダメダメ」と「集団的自衛権」の2語で、後者の方は“受賞者辞退”となっていた。

トップテン入りの中では「ありのままで」、「壁ドン」、「危険ドラッグ」、「レジェンド」などが目についた。昨年と比べて、今年は「レジェンド」以外ではほんのりと感じられるものが見当たらない。
まさに、「ダメよ~ダメダメ」とぼやきたくなるような師走である。

 

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落語家の故・橘家文蔵さんは、競馬で5着の馬を当てるのが上手だったらしい。
「こんな役に立たない特技はそうあるものじゃない」と、矢野誠一さんの『昭和の藝人・千夜一夜』に記されてある。

予想という字を逆さに読めば、「嘘(うそ)よ、嘘よと書いてある…」。役に立たない特技を力説したところではじまらない。
しかし、その文蔵さんにさえ、この師走の選挙の行方は堂々と言い当てられるであろう。

 

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<税率10%時に導入する>。
消費税の税率引き上げにともなう軽減税率をいつ導入するかの話である。
言葉の綾で、“引き上げた時に”するのか、それとも“引き上げた後のいつか”なのかと、意味のわからぬやりとりに時間を割いたりもしていた。

食料など生活必需品の軽減税率は低所得者対策として欠かせない。対象品目など制度設計も遅れないよう始めた方がいいに決まっている。

先月25日の閣議後、麻生財務相は記者会見で、来年10月の消費税率10%への引き上げを先送りした場合、(受け取る年金が少ない)高齢者などへ給付金を配る制度について、再増税の実施まで<先送りする>考えを示した。

8%増税の今、社会保障がどれだけよくなっているのか。10%でなければできないというのなら、なんのための8%なのだろう。

9月に発足した第2次安倍改造内閣で、発足間もない<女性閣僚ダブル辞任>騒動以降も、カネの問題で失態続きである。
この後始末はどうなのか。うやむやにすることも含めた<解散総選挙への転嫁>だと思われてもふしぎではないだろう。

 

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辞任したふたりも、(何事もなかったかの如く)出馬されるとか。
衆院選候補者はいくら使えるか」、という新聞記事を見た。有権者数が30万人の
一般的な選挙区の場合では、2360万円になる計算だという。

そして、この総選挙には約631億円の税が投入される。そういうツケがすべて国民に回されることを思えば、議員の数を目一杯削減するくらいの努力をするべきである。
「議員にさせたくない者を選出する投票」をさせてみたら、投票率もかなり上がるのではないか。

昨日の新聞のコラムに、『子供の名前』のことが書かれてあった。
食糧難だった終戦直後には「稔」「茂」が人気を集め、家族のコミュニケーション不足のバブル期は「愛」のつく名が流行したという。

某生命保険が発表した、“今年生まれた赤ちゃんの名前”の人気ランキングでは、「陽菜(ひな)」「陽向(ひなた)」「陽太(ひなた)」と、男女とも「陽」の字が上位に並ぶそうだ。
就職氷河期、消費の冷え込み…寒々しい語が飛び交う世の反映で、<苦労なく陽のあたる人生を>と。子の名に託す親心のようである。