日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

バブルに沸いた30年前と今

 

“興味深い”や“楽しい”ときの「面白い」は、奈良時代以前から使われていたという。もとの意味は、目の前が明るくなった状態とか目に見える景色の美しさを表す言葉だとか。

かつての日本では夜に家族が炉端に集まった。誰かが“男女の密会の目撃談”などを始めると、全員が一斉に顔を上げ「えっ、ホント!?」と盛り上がる。

うつむいていた人たちも、囲炉裏の火に照らされて(みんなの)顔面が白く光って浮かび上がる。思わず興味を引かれる話題のことで“面が白く”なるから「面白い」・・・と。もちろん俗説らしいが。

「自分の額にEという字を“相手が読めるように”書いてみてください」。米ノースウエスタン大学での実験である。(他の人に比べて)ある種類の人は3倍ほど正確に書けなかった。

それは自分に権力があると考えている人たちで、人から見てカタカナの「ヨ」のような裏返しの「E」を書いた。権力を持つ人間は他者との共感力が弱く、人からどう見えているかが理解できないため・・・だとか。

 

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日本がバブルに沸いた約30年前、映画大手コロンビアをソニーが買収し、激震がアメリカ国内に走った。音楽大手CBSレコードもソニーの傘下に収められていた。

アメリカが誇る映画と音楽というソフト産業の名門を、日本企業が簡単に札束で手にした。アメリカの魂を買ったといわれ、不評だったその要因はよくわかる。

しかしその後、日本の製造業は長い冬に入り、アメリカのソフト産業に磨きがかかることになる。インターネットの普及でIT大手が成長し、今は「GAFA」と呼ばれて世界のデジタル市場を席巻する。

「亭主元気で留守がいい」という、CMキャッチコピーが流行語大賞に選ばれたのも30年以上前である。日本の景気は絶好調で亭主たちも元気に仕事をして、お遊びも盛んだったのか。

とはいえ、あのキャッチコピーの意味には科学的根拠もあるらしい。ある心療内科医が60~84歳の高齢者3100人の老後を5年間追跡調査したという。

その報告では、老後も夫と暮らす妻の死亡率は夫がいない人と比べて2倍。一方で妻と一緒の夫の死亡率は、妻に先立たれた人などの半分以下だったようだ。

 

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定年退職などで夫が家にいるようになると、妻が体調を崩す「亭主在宅症候群」というのがあるそうな。その中で「昼食うつ」が多く、自分だけなら簡単に済ますのに、わざわざ夫のために昼食を用意するのが強いストレスとなるらしい。

リタイア後に悠々自適を楽しみにしていた夫の夢も、奥さんにとっては「白昼の悪夢」と化すのだ。

「眼鏡、眼鏡・・・」と部屋中を探し回り、鏡を見ると頭に眼鏡が載っているエピソードがよくある。私もたまにやる。

誰でも年齢と共に脳の機能が衰える。たとえば、何を食べたのか忘れるのは“加齢による物忘れ”であり、食事の経験そのものを忘れるのが“認知症”なのだという。

日本がバブルに沸いたあの時代の企業戦士とその妻たちも、今は老境の域に達している。とはいえ、気持ちはあっという間の30年で、人からの見た目と本人の年齢差(意識)のギャップは大きいかもしれない。

権力者の立場ではないが、自分の額にEという字を“相手が読めるように”書いてみる努力が必要になるような気がする。

 

今週のお題「自分にご褒美」