日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

思いもよらぬことが普通へと

 

吾輩は猫である』(夏目漱石さん)の一節にある。<人類で最初に海鼠(なまこ)を食べた者はその胆力において敬すべく・・・>と。

「海鼠の化けたよう」なる ことわざもあるという。醜いものの例えらしい。海鼠は見た目で損をしているのか。とはいえ、あの歯ごたえに味わいがあり、酢の物などを肴に一杯はうれしい。

そういえば、最近は口にしていない。先日のテレビニュースでは、最近あまり穫れないと言っていた。その際、海鼠の形容詞として「高級食品の・・」とあり少々ビックリしたが、食物の位置づけにも時代の移り変わるがあるのだろう。

20年以上も前、プロの将棋棋士を対象にあるアンケートが行われたそうな。<コンピューターに負ける日が来るのか>。多くの棋士が全面的に否定するなか、その日が来るのを正確に予想していた棋士がいた。羽生善治さんである。

 

 

人間にあってAI(人工知能)にないのは“恐怖心”である、と羽生さんは言った。長い歴史で生き延びるために、人間は“恐怖心”を獲得した。しかし、AIは怖いもの知らずで、人間の思考の盲点を平気でついてくるのだ・・・と。

<あなたは監視されている>。かつて、新聞記事の見出しにあった。防犯カメラや監視カメラにもAIが絡めば、いくつもの情報が手に入る。人間の気づかない盲点をチェックできるのだから。

全国一の繁華街・東京の歌舞伎町に、防犯カメラが導入されたのは2002年だという。「防犯効果に地元期待」や「善良な市民の平穏まで害するおそれがある」など、賛否両論の意見があったとのこと。

地元の期待通り、歌舞伎町での犯罪は激減した。それが評判となり、全国で防犯カメラの導入が相次いだ。現在国内では、約500万台が稼働しているともいわれる。

 

 

2018年、渋谷の繁華街にてハロウィーンで仮装した若者や外国人ら4万人を超える人出があり、トラブルが相次いだのは記憶に新しい。とくに目立ったのが、取り囲み横転させた軽トラックで、はしゃぐ若者たちの狂態であった。

警視庁の捜査員は、現場周辺のカメラや通行人が撮影した画像を収集、解析して、軽トラック横転にかかわった15人を追跡した。そして、約2週間で全員の身元を割り出し、とりわけ悪質だった4人の逮捕に踏み切った。あの群衆の中からそこまでできることに驚いた。

しかし、こちらの国はもっともっと上手(うわて)だ。中国の監視カメラは2億台に迫る勢いだという。そして、それらのカメラは「天網」と呼ばれる最新の顔認証技術を持つ。そのシステムで、14億人の国民のなかから即座に人物を特定できる。追跡するのは犯罪者だけではなく、もちろん民主活動家らも監視対象になるのだ。

“覗く”という行為に人間は“羞恥心”が伴うだろう。ところが、AIには“羞恥心”もなければ“恐怖心”もない。“清濁併せ呑む”が如く、人間を裁く日も遠くはないように思える。