日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

よいよいみたいな「まずまず」

 

元号が昭和から平成へと変わる頃だったか、“殿様改革”なるものが進んだという。近寄りにくい感じの“◯◯殿”がほんわりとした“◯◯様”へ・・・と。役所の文書の宛名である。

当時の新聞によれば、“様”は“殿”より敬意をあらわすレベルが上らしい。ふだんの使い方では、“様”が書き言葉、話し言葉では“さん”がよく使われるようであるが。

学校以外で、“◯◯君”がふつうに使われるのは国会や地方議会で、吉田松陰が幕末に松下村塾で使ったのが(明治以来の伝統で)受け継がれたという。

「未曽有(みぞう)」を「みぞうゆう」、「踏襲(とうしゅう)」を「ふしゅう」、「頻繁(ひんぱん)」を「はんざつ」等・・・。国会答弁などで誤った言葉遣いを連発したのは、麻生元首相であった。

 

 

その昔、ある人気俳優にNHKが密着して、素顔と芸を特集した。その番組のなかで俳優が「作者のイズは・・・」と3回語ったそうな。意図(イト)のことである。NHKの用語委員会は放映後に会議がもめた。「再放送ではテロップで“イト”と流すべき」、「いや、俳優が気の毒だ」といった具合にだ。

議論を収拾させたのは、委員長の国文学者・池田弥三郎さんであった。<単純なイト・イズ・ミステークということで・・・>との一言。これでテロップなしが決着。

麻生元首相の読み違いでも、当時の新聞コラム記事に書かれていた。<いずれも慌てるあまりの単純な読み間違い、言い間違いだろう。「意図・イズ・ミステーク」の香りが濃厚である>と。

2019年10月13日、令和元年台風第19号による自民党の被害対策役員会の冒頭挨拶で「色々言われていたことから比べると、“まずまず”で収まった」と発言したのが自民党の二階幹事長。

 

 

その後の被害の拡大をテレビ等で見るたびに、“まずまず”が浮かび腹が立ってくる。この人の言動は人としてどうなのか。議員はそれほど偉いのだろうか。

千曲川、夏井川、多摩川が決壊、または氾濫し、多数の死傷者、行方不明者、避難者、断水や停電被災者が出ている中の発言は批判を受け、形だけの謝罪はしたがその際も質問者に食って掛かるような言動であった。

“よいよい”という言葉がある。俗に、アルコール中毒、中風その他の原因で手足がしびれて、正常な歩行もできない病気の人。私も酒好きで人のことは言えないが、よいよいのような人とも酒席でお会いしている。

あの幹事長の言動をテレビで見ると、いつも素面には思えないのである。あの人の漢字力はどうなのかわからぬが、何を言っても自分は偉いから「良い良い」と思っているのではあるまいか。