日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

「気の持ちよう」にも因果あり

 

花が色美しく生まれるのは、偶然ではなく理由があるらしい。花粉を運んでもらえるようにと虫を引き寄せるためであり、花の中で生まれてくる種子(子供)を紫外線の害から守るため、花びらに色素が多く含まれる。子孫を絶やすことがないための美しさともいえそうだ。

人の普段からの表情にも、なにかの関連性があるという。アメリカの心理学者が卒業アルバムを使い、ある研究をした。何百枚もの写真からその笑顔を分析するのだ。

まずは、笑っているかどうか。そしてそれは満面の笑みなのか。分析結果で、写真の人物の笑顔の度合いと、その後の結婚生活を検証してみると、それほど笑っていなかった人の離婚率は満面の笑みの人の5倍になったとか。

とはいえ、この統計は日本人に当てはまらないだろう。日本人が卒業写真などを撮る際、歯を見せて笑うことがないからだ。

 

 

親しい人から高価な好物をいただいたとき、自然と満面の笑みがこぼれる。

作家の内田百閒さんに師事したドイツ文学者・高橋義孝さんは、百間さんに蔵出しの名酒を一升贈ったことがある。のちに百間さんに会ったとき、ひどく怒られたという。

<ふだん飲んでいるお酒が、ああいうおいしいお酒を頂戴したあとでは飲めなくなる。「迷惑します」>と、苦情を言われた。“満面の笑み”との大きな落差が、偏屈で知られた作家らしいエピソードである。とはいえ、その言葉の裏に百間さんの嬉しさを感じ取れるが。

思えば、人生を飾る成功も、到来物の“おいしいお酒”に似ているような気がする。人と人はなんらかの“恩恵”でつながり合うのかも知れない。そして、安心する性質が日本人にある・・・との説もあるらしい。

 

 

一字では安心できないのか、熟語には上と下の漢字で同様な意味を持つものがある。道路、表現、価値、会合・・・などと。“連語”の仲間として、平らかで、和(やわ)らかな「平和」もあり、そして景気も“気”からだという。

景気の浮き沈み、株価の動きなどもその社会の人々の心持ちと何らかの相関関係があるそうだ。経済学のかなりの部分は心理学と重なるらしい。

こうした観点で、証券系の研究所が度々おもしろい分析をしている。10年ほど前には、大和総研が「落とし物と株価の関係」を論じていた。

警視庁に届いた拾得物の統計から、現金の額をグラフにすると、中長期的な株価の浮き沈みとおおむね一致する、というから興味深い。

人々の心理的余裕があればこそ、拾ったお金をきちんと届ける。そうした余裕を生む社会環境では株価も上昇する、との分析結果だった。