日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

悩ましき判断は先送りになる

 

昨年7月に亡くなられた永六輔さんは、草創期のテレビ人である。
しかし、1966年にテレビのヒットバラエティ番組『夢であいましょう』が終了すると、活躍の場をラジオに求め、翌年の1967年には『誰かとどこかで』がスタートした。

<テレビに出れば有名人。文化人でも、知識人でもないの・・・>と(著書『無名人のひとりごと』より)。影響力の強いテレビでは本音の発言ができない、との考えで早くもラジオに活動の重心を移した。

永さんのように出会いを大切に、自分の好きな道を潔く貫いた人たちも多いが、私などは歳を重ねつつ後半生をどう生きるか、悩ましいばかりである。

若いときから「今は目の前の仕事をするだけ」と結論を先延ばしにしてきたツケが、まとめて回ってくるような感覚なのである。

 

1901

 

心理学者・小此木啓吾さんの著書『モラトリアム人間の時代』が話題になった時代、大人になり切れない、なりたがらない若者心理の分析はそれなりに理解ができた。自分も若い時期だったのだから。

ところが今は後半生の選択までもが先送りのままなのか。何十年たっても変わらないところがうらめしい。

好きなように生きるには、努力と蓄積が必要であり、“一から出直す”には人生の残り時間が短い。とはいえ、何もなさないとしたら長すぎる。

1年前、米ワシントン大のグループが、脳を(構造や働きによって)180の領域に分けた「地図」を作製したと、英科学誌ネイチャーに発表した。

MRI(磁気共鳴画像)を使い、健康な男女210人の脳について、構造や神経のつながり方、刺激を与えた時や休んでいる時の血流の変化などを、複数の解析法で詳細に調べたそうだ。

 

1902

 

「どうするの?」と聞かれても、悩ましい判断しかできない人には、AI(人工知能)が手助けをしてくれて、1分で賛否両論を披露してくれるという朗報もあるようだ。

難しい判断を迫られた案件などを質問すると、賛成や反対、それぞれの立場から(理由つきの)意見を語ってくれるAIなのだという。

一昨年に日立製作所が開発し、理論武装を助けるソフトとして実用化をめざしたそうだ。今そのAIは、どのように活躍しているのだろうか。とても興味深い。

ただ、AIの機能は賛成か反対で答え、それぞれの意見を語るまでにとどめるらしい。
賛否の最終判断は人間にまかせるのである。

私の場合、深く考えてもしかたがない、と居直り、一杯飲んで気分転換を図る。
つまり、若いころも今も同じなのである。よくよく考えると、先送りの一番の原因は、酒にあるのかもしれない。ふむ。