ロスジェネ世代が中心なのに
“バブル景気”と呼ばれた好景気の急激な後退は1980年代後半に起きた。高騰し続けていた株価や地価も下落に転じた。
バブル崩壊後から約10年間の期間に就職活動をした人たちが、“ロスジェネ世代”と呼ばれるらしい。1970年~1982年頃に生まれた世代である。
ロスジェネ(失われた世代)といわれる人たちは、生きづらい青年期を生きて、今は30代後半から40代。社会に出る頃は不況のあおりで“就職氷河期”まで始まってしまう。格差や貧困といった問題にも直面した世代である。
本業以外にも収入源を確保したいと考える人は多いはず。しかし現実はなかなか厳しい。昨年2月、某協会が全国の20~50代の働く女性1200人へ副業に関する調査を行ったという。
副業に取り組みたい人は全体の22.9%で、理想の収入が平均で月5万2164円だという。金額帯別の最多は月3万円以上5万円未満で34.9%。既に副業をしている人は全体の19.4%で、その平均月収は1万9903円であり、理想との開きは3万円以上であった。
全体の過半数が月5000円未満のようで、(理想の)月3万円以上5万円未満を実現している人は6.9%にすぎなかった。
<正社員になります>。この3月、東京都内のある小学校の卒業式で1人の男子が、こう言ったそうな。東京新聞の社説にあった。目指す職業や進学する中学での目標を語る中での話だ。
今春卒業した小学生たちが生まれた約2年後の2008年、リーマン・ショックが起き、多くの派遣労働者が仕事と住居を一度に失い、非正規雇用の不安定さを社会に突きつけた。
本来、働くことはやりがいや喜びを感じるもの。そして自分が社会の役に立っている実感を得る大切な営みであるはずが、まずは正社員になることのハードルが高いのである。
平成の世に入り、バブル経済が崩壊し経済が低迷した。生き残りへ企業は賃金を抑える非正規雇用を増やし、非正規で働く人はこの30年で(働く人の)約2割から4割近くに増えた。その人数は約2千万人と2倍以上である。
生活を支える社会保障制度は時代に寄り添えているのか。そして、子どもを産み育てることを難しくしているのは何か。
非正規で働きだすと技能向上の機会も少なく、正社員になることは容易ではなくなる。低賃金で雇用も不安定だと結婚もままならない。当然、出産や子育てにも影響してくる。
長時間労働で仕事に追われる夫では子育てができないし、安定した高収入がなければ学費も賄えない。
誰でも汗を流して働けばやりがいと生活できる賃金が得られる。私が、今のロスジェネ世代と同年齢の頃はそれが普通のことであった。そういった労働に戻さなければならないのに、そこからますます遠ざかっているような気がしてならない。
今週のお題「平成を振り返る」