日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

2017-01-01から1年間の記事一覧

飾らず手軽に読める文学全集

“文学全集”が飛ぶように売れた時代があったそうだ。その元祖は“円本(えんぽん)”と呼ばれるシリーズ本であり、1926年に出た『現代日本文学全集』(改造社)がきっかけになり、1冊1円の手軽さで人気を博した。 また、戦後の1952年には角川書店が『昭和…

サルトル・マルクス・讃美歌

先日、何気なく観たテレビの歌番組で、ミュージシャン・俳優の竹原ピストルさんが耳馴染みの曲を熱く歌い上げていた。それは、昨冬のライブから竹原さんが歌い続けている楽曲なのだという。 18世紀後半に作られ、世界中で慕われ愛唱されている讃美歌『アメ…

G・バットを好んだ文人たち

ゴールデンバットというタバコが発売されたのは1906年9月1日だという。店頭や自販機で見かけることがないため、今も健在なのかとネットで確認したところまだあるらしい。価格は290円に跳ね上がっているようだが。 今年で111年目になるゴールデンバ…

ハンデ逆手に個人主義を貫く

よちよち歩きをするペンギンの群れから、一匹を離すとすぐに速足で、仲間のもとへと駆けだすそうだ。 また、進行方向に障害物を置くと、群れは二つに分かれず全員が同じ道を進んでいくとのこと。 日本では聖徳太子の時代から、個よりも和が重んじられ貴いも…

4Kデジタル・リマスター版

<哲学が束になってかかろうとも、タバコにまさるものはあるまい>。モリエールの戯曲『ドン・ジュアン』の一節だという。 1904年(明治37年)の7月に、タバコの専売法が施行された。本居宣長の歌にある「敷島の大和ごころを人問わば朝日ににおう山ざく…

パソコン・電話 いたしません

濁ると澄むでは意味の変わる言葉がある。その代表はやはりこれだろう。<ハケ(刷毛)に毛がありハゲに毛がなし>。 また、濁音の表現は不快感を誘うこともあるという。 “かに(蟹)”を濁らせた「がにまた」や、“さま”を濁らせ「ざまあ見ろ」などと。それは濁音によ…

なんのために鳴くホトトギス

炊飯器で炊いたご飯の、抜きん出ておいしい部分は表面だという。表面をすくい取って口に運べば、甘みがとても深いらしい。 うまい米は上へ上へと集まる。しゃもじで混ぜるのは“おいしさを均等にするためだ。 人間の社会でも、おいしい部分は上に集中する。し…

面白い話は やはりおもしろい

<勝ちに不思議な勝ちあり。負けに不思議な負けなし>。野村克也さんが監督時代から口癖のように語っていた言葉である。 映画界では、巨匠・黒澤明監督が言っていた。<良いシナリオから駄作が生まれることもあるが、悪いシナリオから傑作が生まれることはな…

不変ではなかった一日の時間

約45億年前、誕生したばかりの地球は自転のスピードが速く、1日は5時間ほどしかなかったそうだ。以前、新聞のコラム記事で知りおどろいた。 その回転にブレーキをかけているのが月の引力で、潮の満ち引きが起きて、大量の水と海底の間に摩擦が生まれ、自…

他人事と自分事は入れ替わる

傘が活躍する時期になっている。しかし、雨の日はまだ少ない。 雨の予報で外出時に傘を持ち歩いても、使わないで済むことがある。そういうときは、なんだか損をした気分になる。電車の忘れ物ランキングでも、傘が1位をキープし続けているようだ。 暮らしの…

右脳寄りの人工知能が進出か

人が話をして認知するときは、9割の人で大脳左半球に偏在されることが、多くの臨床研究で確認されている。右半球は言語表出の理解と抑揚の機能を受け持っているそうだ。 ただ、他の部位が活動していないという意味ではなく、脳の左右は相対的な差であり、片…

細切れしない1日の醍醐味は

2017年卒採用の選考解禁はこの6月なのか。就活に忙しい方もおられるにちがいない。 昭和40年代は日本の高度成長期。今とちがい、さまざまな業種で企業が躍進し、採用も活発だった時代であった。 人気企業の多くに、真偽不明の小話があった。高度成長…

こうすればうまくいかない事

逆発想をできる人の話や記事がおもしろい。 糸井重里さんのウェブサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』は、1日の総ページビューが約140万の有名サイトだという。手帳やタオル、カレーのスパイスなどのオリジナル商品を、幅広く扱い、(数十万部が売れている)『ほぼ…

山田洋次監督に学ぶ温故知新

若かりしき頃、松竹映画の喜劇監督・前田陽一監督と一度だけ、酒を飲みながら話をしたことがある。 当時、寅さんシリーズで活躍中だった山田洋次監督の話になり、前田監督は「ボクの方があの人より上なんですよ」と言った。 <山田さんは“ヨウジ(次)”でボクは“…

「笑う門に長寿来たる」なのか

高級食材として古くから珍重されている伊勢海老は、江戸で鎌倉エビ、尾張にて志摩エビと呼ばれたそうだ。そして呼び名が伊勢に定まり、その名が世界に広まった。 孵化させてから稚エビに育て上げるのが難事業であり、人工的に育てる技術はまだ確立していない…

未来の機器たちは頼れるのか

昨日、友人たちとの飲み会に出かけようとして気がついた。スマホの電池が空っぽになっていた。最近、こういうことがよくある。 休日で家にいるときは、スマホをまったく使わないのに、肝心なときの電池切れ。スマホとは電池を浪費するためだけの機器なのだろ…

「創造する心」を支えるツール

<顧客は自分で、何が欲しいか分からない>。スティーブ・ジョブズさんの言葉である。 ジョブズさんは、<消費者が欲しがる新製品は、開発者が生み出すしかない>と感じた。アップルは、20代のスティーブ・ジョブズさんと、(友人の)スティーブ・ウォズニア…

大人の月9主演 やはりあの人

人気の高いBS番組のひとつ『吉田類の酒場放浪記』(BS-TBS月曜夜9時放送)は、酒好きが愛してやまない番組であり、酒飲みの間では「月9」とまで称されているとか。月9でトレンディドラマを見ていた世代が年齢を重ね、BSの月9を見ているのだ。 番組…

話の始まりはエピソードから

読んだり聞いたり、書くのも、私はエピソードが好きだ。 エピソードの意味は、挿話(そうわ)。文章や物語の途中、演劇の幕間などに挟む短い話。などとあるが、心惹かれるものはこちらである。<ある人物や物事についての興味深い話>。 渡部建さんと児嶋一哉…

中途半端なき「褒め」と「叱り」

実力派の漫才コンビ「ナイツ」の塙宣之さんと土屋伸之さんは、2002年に漫才協会に入り、内海桂子師匠の一門になった。そして07年に「寄席にも出たい」と、落語芸術協会にも入った。 その際、お世話になった師匠は(「笑点」でおなじみの)落語家・三遊亭小遊三…

マニアックなドラマの観かた

深浦加奈子さんという女優は、様々な役柄をこなし名脇役と評された。惜しくも、2008年8月に48歳で亡くなられた。 舞台を中心に活動を始め、テレビドラマ『家なき子』や『スウィート・ホーム』での演技で広く認められるようになった。今も、人気ドラマ…

旅の楽しげな土産話に人柄が

優れた経営者には共通点があるのだという。元官僚で工業経済学者・政策研究大学院大学名誉教授である橋本久義さんによる理論がおもしろい。 1. 人徳があること。町工場なので経営者が悪いと、従業員が辞めてしまう。 暴走族出身者を教育し、一人前の工員に…

宵が裏方で生酔いできる季節

<小説とは迷っている人間が書き、迷っている人間に読んでもらうもの>と司馬遼太郎さんは語った。 女性初の芥川賞受賞は1938年(昭和13年)下半期に、中里恒子さんの作品『乗合馬車』が受賞した。今では、選ばれる側、選ぶ側で女性作家の活躍が目立つが…

“日本でよかった”の味わいは

人間の舌が感じる基本味は、「甘味・塩味・酸味・苦味・旨味」の5つといわれる。“旨味”に関する物質は、1908年に日本人が発見したそうだ。 だし昆布からグルタミン酸を見つけ、その後、かつお節のイノシン酸、しいたけのグアニル酸などと、次々に旨味成分…

公衆電話を知らない子供たち

職場の隣の公園にあった公衆電話が見あたらない。だいぶ前からのことだったらしい。普段からその存在をまったく気に留めなくなったせいなのだろう。 私のマンションの下にある公衆電話の生存確認はできている。ただ、使用している人は見ていない。たしか、数…

花見と人工知能の関係は如何に

「寒くないの? 半袖で」と妻。「平気、若いから」と私。「感じなくなっているのではないの。暑さ寒さを・・・」と再び妻。つい先程の会話である。 花見の時期も過ぎた。風雨に見舞われながらも、健気に残った今年の桜。その散り際は実にお見事であった。もうだめ…

娯楽性の中にあるべき芸術性

数年前テレビで、漫画家のさいとう・たかを さんが、黒澤明監督の話をしていた。その黒澤論がおもしろかった。 黒澤明監督作品から学んだものは多いと言う。その続きで、娯楽作品があんなにすばらしいのに、社会性やメッセージを前面に押し出した芸術作品に…

「遊び心」にこそ説得力がある

<“恐れないのが詩人”で“恐れるのが哲人”>なのだと、夏目漱石さんは『虞美人草』で述べている。 先が見えないくらい強い感覚にかき立てられる詩作に比べ、哲人は結果を先に考え取り越し苦労ばかりするのだと。なかなか言い得て妙である。 格言やことわざの…

「学ぶ」ための大切な基本動作

将棋の史上最年少棋士・藤井聡太四段(14)は、デビュー11連勝で新記録とのこと。5歳の時、(くもん出版から販売されている)「スタディ将棋」を祖母から贈られたのが、将棋を始めるきっかけになったという。 幼稚園の時に<将棋の名人になりたい>という言葉…

花見はざっくばらんが一番だ

端唄にうたわれた<梅は咲いたか桜はまだかいな>だが、今年は開花の順番もかなり曖昧なようだ。私のまわりでは早咲きの菜の花が1月の初旬、そのすぐあとには河津桜も早く咲いた。そして、ソメイヨシノはさぞかし早かろうと身構えていたところ、例年より一…