日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

2016-01-01から1年間の記事一覧

若しもの将来 起こりうること

<何となく何物かに押されつつ、ずるずると>。これは驚くべき事態だ、と。敗戦直後、政治学者・丸山真男さんは、論文を執筆した。 どのようにして、戦前の日本が先の戦争に突入していったのか。ナチスの指導者は開戦への決断をはっきり意識していたに違いな…

よくある噴飯モノのできごと

その昔、小学校で先生から「ひとの嫌がることを進んでしなさい」と児童が教わった。日本語はむずかしい。ある男の子は、女の子の嫌がることをしながら歩いたという。 数年前の文化庁「国語に関する世論調査」では、“噴飯モノ”を「腹立たしくて仕方ないこと」と誤解…

スマホ発信によるビッグデータ

目が覚めたら有名人になっていた。38年前に刊行された筒井康隆さんの小説『おれに関する噂』である。 ある会社員の情報が世の中へ筒抜けになってしまう。女子社員をお茶に誘ったことが翌日には、日本中で話題になるといった具合に。 自分の情報が知らないと…

異端者だから成し遂げられる

作詞家の創意や意図に、前から興味が強い。自然に生まれたようなフレーズにも、隠されている秘密があるように思うからだ。 童謡の『ゆりかごのうた』(詞・北原白秋さん)に“黄色”を感じるという説がある。 <ゆりかごのうたを カナリヤが歌うよ・・・>。 そ…

消える日本語が映す今の時代

1901年(明治34年)の冬に柳田国男さんが信濃路を旅した際、車屋が「とても寒い」と語るのを聞き、飛び上がるほど驚いたという。 “とても…できない”のような否定形を伴わない“とても”に、柳田さんは初めて出会ったという。でも今は「とても寒い」がふつうに…

あとを絶たぬサバ読む者たち

たとえば、数学が好きなら金融業界へ。国語が好きなら作家、編集者、書店員に。村上龍さんの『新13歳のハローワーク』がおもしろい。 好きな教科を入り口に、自分の向いている職業を探す趣向である。道徳の授業が好きな13歳向けには、弁護士、裁判官、検…

半世紀前のSF映画が現実化

外出先のコンビニでビールを買うことがよくある。その都度、タッチパネルで年齢確認を求められるが、いまだに慣れない。生まれて半世紀以上になる人間を見て、未成年とまちがえることもあるまいに。 どなたかのコラムでは、<想像以上に若く見られているのか…

難しいことはわかりやすく

何年ぶりであろうか。“数独”にすごく凝っている。脳トレに最適なような気がするからだ。 数独とは、「数字は独身に限る」の略だという。パズルの一種で、9列9段のマス目を3列3段のブロックに分け、各列・各段・各ブロックに1から9までの数字を重複しないよ…

鑑賞よりも感賞の確率に興味

作家の感性はおもしろい。 <あくびを するとき ネコのかおは花のようになります>。まど・みちおさんの詩『ネコ』の一節である。 小さな口を開け、目鼻がグシャッとなるネコのあくびは、ダリアやバラに見えなくもない。 凛として美しいキキョウ(桔梗)のなか…

グローバル時代のアリジゴク

ふだん何気なく使う言葉には、歴史の重みの潜むものもあるという。「感謝感激、雨あられ」は、日露戦争が題材で筑前琵琶の一節で「乱射乱撃・・・」のもじりだという。 「この際だから」は、関東大震災直後の流行語らしい。東日本大震災後、明かりの減った街路を歩…

知らないことの多すぎる気が

こうしてなにかを書こうとするたび、知らないことが増えてくる。 人類最大の天敵は?米マイクロソフト創業者ビル・ゲイツさんいわく「蚊」だと言う。 <蚊は破局的な病をもたらす。最悪はマラリアで、毎年60万人以上が(蚊の)犠牲になる>のだと。 その他の動…

刻々と動く時計へテンポ良く

刻々と動く時計の秒針を見ながら、だれが1分を60秒にしたのだろうと考える。それは、紀元前3~1世紀のバビロニア(現イラク南部)人だという説があるようだ。 60は2、3、4、5、6、10・・・と、多くの数の倍数になっているため、使い勝手がよか…

牧水さん酒話と今の天気予報

1885年8月24日、宮崎県に生まれた歌人・若山牧水さんは、旅と酒をこよなく愛した。その酒量は並大抵のものでないという。 大正の末、九州へ51日間の長旅をした。その紀行文に記録されている。 朝の4合から始まり、<一日平均2升5合に見つもり、…

まだ熱い夜はウイスキーでも

甘酒は夏の季語だという。点滴同様の栄養分を含むからだそうだ。 <江戸時代の必須アミノ酸強化飲料が甘酒であり、総合ビタミンドリンク剤であった>との説がある。暑い日に熱い甘酒を飲むことで、夏バテ防止につながるというのだ。 ウイスキーの宣伝で知ら…

京都・昭和・ひばりさん・健さん

テレビの2時間サスペンスで、京都が一番多く舞台になるという。人気の観光地であり、古都の優雅なしっとり感と事件との落差が、視聴者を引きつけるからだ。 私だと、京都といえば東映のチャンバラ映画だ。橋蔵さん、錦之助さんらのお顔も浮かぶが、美空ひば…

食欲は食べ盛りの昔への郷愁

近年は法事が多く、“おい・めいの子どもたち”との初対面が増えている。おい、めいの子どもは何と呼ぶのか。検索すると、“またおい・まためい”もしくは、“姪孫(てっそん)”というらしい。その子たちからみると、私は“大おじ”になるのか。 核家族の始まりは半世…

とりとめのない話を寄せ集め

<ひどい妻 寝ている俺にファブリーズ>。 おもしろい話の断片につい反応してしまう。おなじみのサラリーマン川柳にあった。 汗をかく季節の真っ最中である。季節を問わず、“メタボ臭”、“加齢臭”なる言葉もある。 どうやら、においの原因は脂肪らしい。肌の…

置き菓子と自販機コンビニ

「置き菓子」のオフィスグリコという会社の業績がいいと訊いた。 場所だけ貸り、お金の回収や商品の補充はすべてグリコが担う。お金の回収の不備や責任も、オフィス側には負わせない。 設置費は無料で、“リフレッシュボックス”という箱をオフィスに配置する。…

自分の人生最後の日を想定

美食家で知られたフランスの法律家ブリア・サバランさんは、有名な言葉を残している。<どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人であるか言い当ててみせよう>。 その妹のジョゼフトさんもなかなかの人だったようだ。98歳の時、食事を終えよ…

深まる夏には「よもやま話」を

電車通勤の頃は本を読んだ。本に飽きると、無意識に乗客を眺め、人間観察を楽しんだ。最近はそれも楽しめない。大部分の人たちがスマホとにらめっこをしているからだ。 そばに知らない人たちがいると、その人たちに対して友好的か、もしくは敵対的に振る舞う…

言葉のニュアンスいろいろと

「この魚、先週に私が買ったのと比べると活きが悪いわよ」「そんなことありませんよ。同じですよ。だって同時に仕入れたんですから」。 こういう話が大好きである。魚屋と客の会話である。(相原茂さん著『笑う中国人』より) 本屋さんでの立ち読みは合法かそれと…

ヒート・ストロークにはご注意

関東地方の梅雨明けが例年より遅いという。おかげで30度未満の日が続き、とても過ごしやすい。 しかし、この先に炎天下が続くようになると、しっぺ返しの暑さを感じてしまう予感である。くれぐれも気をつけたいのは“熱中症”である。 なにかで知ったが、熱…

恐るべき効果のポケモンGO

ゲーム音痴の私がポケモンGOにトライしてみた。職場の前にいたポケモンを発見。通勤の往復で、2匹捕えることができた。良くできたゲームで、多くの人があれほどハマるのがよくわかる。 ポケットモンスターは、ゲームソフトシリーズの名称で、登場する架空…

おカネにまつわるエトセトラ

妻の“へそくり”はなんと、夫の2倍強になるのだという。 夫婦合わせたへそくりの平均額は92万9601円。妻が126万8446円で、夫は58万9058円。昨秋、生命保険会社が行ったアンケート結果なので、今はその差がもっと開いているかも知れない。 …

見も知らぬ恩人と運の貯金

フーテンの寅こと車寅次郎は実に惚れっぽい。そして最後はフラれるのだ。映画『男はつらいよ』の目玉は、毎回登場のマドンナである。 数々の恋愛の中では、何度か受けいられるも自ら身を引く始末。もっとも寅さんの恋が成就したら、名作が48本も続くことは…

粋でモダンな池波正太郎さん

池波正太郎さんが亡くなり四半世紀が過ぎた。生まれ育ったのは、江戸の風情豊かな下町であった。職人だった祖父は孫をかわいがり、浅草や歌舞伎見物などによく連れ出した。 小学校を卒業した池波さんは、家の事情で奉公に出た。奉公先を移り変わり、株式の仲…

粋にもてなす日本人のお家芸

歳を重ねる度に知らないことが増えていく。 「少し刺し身を切りますか?」、「握りがいい。つけてくれ」。すると職人はおもむろに鮨を握り始める。 作家・早川光さんのコラムにあった。30数年前、早川さんが入った東京下町の鮨(すし)屋での会話である。 職人と…

名前に宿るふしぎな魂と心

江戸から明治に移ると、人々は以前ほど泣かなくなった。柳田国男さんの説である。 教育の普及で、人々は感情を言葉で伝える技術を磨き、涙という“身体言語”の出番が減ったそうだ。とはいえ、“身体言語”のDNAはかんたんに消せず、なにかの拍子に現れること…

宇宙を舞う妖しきデブリたち

太陽系の主構成は<水金地火木土天海冥>といわれる。その中の冥王星は、太陽からの距離が地球の約40倍、肉眼では見えない。1年前、米航空宇宙局(NASA)のニュー・ホライズンズは、この星に最接近した。2006年1月から飛行を続けてきたのである。 …

夕暮れ時は寂し嬉しの雑感

<夕暮時というのが嫌いだった。昼間の虚勢と夜の居直りのちょうどまん中で、妙に人を弱気にさせる>。向田邦子さんのシナリオ作品『冬の運動会』にて、主人公である青年の独白が印象深い。 夕暮れ時は、“どうにかする”の虚勢が“どうにでもなれ”の居直りに転…