なくてはならぬこの名コンビ
いろいろな分野で使われているQRコード。それは生産技術として、1994年にトヨタグループの「日本電装(当時)」が開発したものだという。つまり日本製だったのである。
“かんばん方式”で(在庫を持たない)生産管理をするトヨタは、書類の代わりにQRコードを使おうと考えた。
横方向に情報を格納するバーコードに対し、QRコードは縦横に格納できるのでたくさんの情報を扱える。また、汚れに強く、一部が欠けても情報を読み取ることができるとのこと。
今ではスマートフォンなどで読み取り、インターネットにつなげて様々な情報を得ることができるスグレモノでもある。
IT活用で社会をどう変えるか。そこでQRコードに注目したのが、システム工学者の石井威望さんである。
<紙の本にすごい可能性を与える技術だと思います。本とは何なのかを問いかけ、将来の本の姿を考えるきっかけにもなります>。紙の本には限界がある、と石井さん。
文章、写真、図で説明を尽くしても伝わらないことがあるため、テレビのような動画を見せれば、分かりやすくなる可能性が出てくる。仮に、小型無人機“ドローン”が出るページにQRコードをつける。それを読み込ませると、ドローンを操縦している動画につながるという具合にである。
今や、多くの人がスマートフォンやタブレット型端末を使っている。QRコードを使う環境が整備された時代だからこそあらゆる可能性が広がるのだ。
読み取り端末を用意する必要がなく、スマホで読み取って決済できるため脱現金化として世界へ浸透することも・・・。
徹底的に活用しているのが中国のようだ。中国では様々なものにQRコードをつけ、現金でなくスマートフォンで決済するようになってきている。以前見たテレビでは、屋台の店までQRコードの紙を貼り付け、客がスマホをかざして飲食をしていた。
キャッシュレスでモノやサービスの対価を支払う決済比率は、韓国が89%で中国60%、米国は45%とのこと。ちなみに日本は18%である。
韓国では小さな店や食堂でも、現金のやり取りをほとんど見かけないといわれる。日本の場合、(中国に比べて)QRコード決済事業者にまとまりがなく、使える店等の共通性がなさすぎるのが低比率の要因にも思える。客からみれば、すべての店で使えることがなによりである。
急増する訪日外国人客の買い物需要などもキャッシュレス化への加速になるはずだが、どこまで対応できるかの勝負である。
そして、インターネット接続の車やキャッシュレス化で、なくてはならぬものがスマホである。端末やデバイスという役割だけでなく、スマホは正真正銘のスーパーコンピューターになってくる
企業側にもキャッシュレス化の利益がある。情報を登録すれば利用できて初期費用が少ない。店で現金を扱わなくなることで、釣り銭の準備や売上金の入金といった作業がなくなり、従業員の省力化が図れるからだ。