AIやゲームの立てる聞き耳
団塊世代は2025年、すべて75歳以上の高齢者になるという。認知症患者も増えていくとの予想だ。それでも、社会との交流で知的な刺激を受けることが予防になるそうだ。
ロボットなど人工知能(AI)を使い、予防の実現を目指す人もいる。たしかに、AIスピーカーと楽しい会話をしたり、音楽をかけてもらうことは現実化している。しかし、ふだん便利に使えているから気を許し、気が付かない部分もあるのだ。
マイクが家庭での会話から物音まで、サービス提供側に筒抜けとなってしまう不安はある。専用のアプリには会話のログも残されている。
ゲームも今やスマートフォンやタブレットでプレイするのが普通の時代。あるゲームをプレイするようになってから、自分をターゲットにした広告ばかり表示されるようになった経験がある方も増えている。だれかがゲームの向こうで自分を監視しているかのように・・・だ。
北米では現実に、原因も判明して物議を醸しているらしい。ある企業の提供する技術を採用するゲームアプリがインストールされた場合、そのスマホやタブレットからゲームとは無関係に収集された音声パターンが発見された。
そのことで、ゲームユーザーがどのようなテレビ番組や映画を好んで見ているのかを分析し、それに応じたターゲット広告を配信するというビジネスの存在が明るみに出た。
思えば多くの機器にマイクやカメラが付属している。企業側はその機能を耳や目として活用しているのだろうか。
あと最近気になるのがポイントである。マイクとカメラがあるわけではないが、企業から見透かされているように感じてならない。
ポイントの始まりは1850年代の米国。業者が間違って大量に仕入れたせっけんの在庫を少しでも減らそうと、景品と交換できる特典付きのクーポン券を購入者に配ったサービスだった。
クーポン券により客を店に囲い込む効果が出ると、米国や英国でスタンプカードが登場。そして、スーパーなど複数の店舗で使えるようになった。日本でも1932年、江崎グリコがお菓子の箱の中の引換証で、景品と交換する販促活動を展開。
ポイントの電子化(80年代)では、クレジットカードや航空券など様々な分野に広まった。ポイントは電子マネーと一体化され、提携店の支払いに使えて便利になっていく。私は昨年あたりからポイントでの買い物が増えている。しかし、しくみはよくわかっていない。
3万円台の買い物で5千円くらいのポイントが付くこともある。ただし、期間限定のためすぐに欲しいものがなくても、いろいろな商品を物色することになる。すると、ネット閲覧時やメールで広告がどんどん増えてくる。まるでだれかに見張られているかのようである。
2017年度の国内ポイントサービス市場規模は1兆7974億円だという。22年度には2.2兆円を突破とも予測されている。それにともない、個人の情報はどんどんさらけ出されていくことだろう。