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日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

“どんでん返し”の弟分たち

人間

 

最近は減ったが、外での飲み歩きをさんざんしている。
とはいえ、ひとりで飲むと間が持たないため、必ず相棒を見つけ連日引っぱりまわす形におさまるのだ。

歴代の相棒の顔を思い出すと、おバカな想い出までもよみがえる。
その中で、かなり異色でおもしろい相棒がO内くんであった。

私より17歳も年下で歌がとてもうまい男である。
ふたりで夜中までさんざん飲み歩いた。

彼は一滴も酒を飲めなかったのに、私と飲むのが楽しいと大酒飲みになった。
その熱中ぶりは、当時婚約中の彼女がいたのに別れてしまうほどであった。
私は何度も忠告したが、それでも私の後をくっついて離れない。

O内くんはとんちんかんなトークで女性を笑わせ、居酒屋のおばちゃんや、アルバイト店員の女の子にもよくもてた。

バブル期崩壊の直前であったと思うが、当時の居酒屋は酔客で溢れ、どこの店も席の確保がたいへんであった。

それでも、彼の魅力?のおかげで、店のおばちゃんに席をうまく融通してもらったり、店員の女の子が伝票をつけずに、生ビールを持ってきてくれたりもした。

 

1800

 

そんなある日、いい店を見つけたとのことで、O内くんに私は連れていかれた。
タクシーで向かう途中、「いい子たちがいるんですよ!」と彼は大はしゃぎ。

その店は彼の家の近所にある、大衆向けの小料理屋であった。
店に入ると威勢のいい声で出迎えられた。
彼と並んでカウンターに座ると、さわやかで愛想のいい若者がふたりいた。

どちらも二十歳前後の純朴な若者たちである。
屈託のない笑顔とテンポのいい会話で客を飽きさせない。
彼らが、O内くんのかわいい弟分だったのだ。

私も彼らに好感を持って楽しく飲んだ。
兄貴分のO内くんは、それからもひとりで弟分の待つ店に通いつめた。

しばらくして、彼はいつものように例の店に行ったら、衝撃的な事実を知ったという。

その日は、弟分たちの待つ店が満席だったため、隣のスナックで待機していたとのこと。
その店のママさんに、彼は弟分のことを自慢していたら、ママさんはあきれ顔で言ったそうだ。

 

1801

 

「あなた知らなかったの!? あの子たち女の子なのよ」
スナックのママの言葉が理解できなかったO内くんは、訊き直した。
つまり、彼ら...もとい 彼女らは、いわゆる“オナベ”だったのである。

O内くんはすっかり落ち込んでしまった。
私からみれば、彼は大の女好きなのだから、かえって女の子でよかったではないか、と思うのだが、彼にとってはそういうものでもないらしい。

とにかくあの店にもう一度いっしょに行ってほしい。O内くんは私を誘った。

そのときの店内のあの雰囲気は忘れられない。

弟分のはずの彼女たちは一生懸命に謝るのだが、肝心の彼はしどろもどろでなにを言っているのかさっぱりわからない。

それまでは(弟分のはずだった)ふたりを相手に、軽快なトークで盛り上っていたくせに。
どの店でもO内くんは、女の子を相手にマシンガントークをさんざん炸裂させている。

なのにどうして、女の子を男の子と勘違いして、女の子だとわかったとたんに、しどろもどろになるのかふしぎでならなかった。

ふつうの人ならわかるが、あれほど自由奔放なはずの男がいったいなぜ・・・なのか?

 

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