日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

上質な創造的人生の持ち時間

 

シニア世代の同窓会の参加率が、70代以上では6割を超え、50代や60代を大きく上回るという。年齢を重ねるにつれ、「かつて同じ時間をともに過ごした」という仲間意識が強くなるとか。

年間では、(中高生時代などの)同窓会に参加した人の割合は、50代で25%、60代は43%であるが、70代以上は62%との調査結果である。

<高年齢になるほど旅館で泊まりがけの同窓会を開くなど、時間や費用をかける傾向>らしい。

私にしても若い頃から、少しでも遠くで飲むと帰りたくなくなるから、そのお気持はとてもよくわかる。

 

1798

 

戦後まもなくの団塊世代は“戦後のベビーブーム”とよく言われるが、物資の乏しい時代で、子どもを産んで育てることは、今よりはるかにだったはずだ。

<日本の人口減少の原因は少子化といわれるが、高齢者の大量死の時代にその拍車がかかる>というような記事を、最近はよく見かけるようになっている。

少子高齢化を解決するために日本は必死で何らかの対策をしなければならなかったのだが、政治家も官僚もまったく手を打たなかった>とも。

たしかに40年以上前に読んだ書籍にも、“世代別の人口分布グラフ”とともに、今を予測した文章が記されていた。日本人自身もまた少子高齢化に関心がなかったのだろうか。

若い世代は、こんな不安な時代で自分が生きていくのに精一杯。結婚や子どもどころではないかもしれない。

団塊の世代は自分たちの子どもに“個人主義”を教え、子どもたちはその個人主義に基づき親の面倒は見ない、という流れもあり得る。

 

1799

 

人間が平均寿命を延ばしたのは100年前のことであり、その前までは平均寿命が50を超えられなかったとか。

ただし、“創造的人生の持ち時間”は長寿になっても、10年だという説もあるという。

2012年に満57歳で亡くなられた18代目中村勘三郎さん。
この方はいかがであったろうか。

平成中村座」の劇場を老若の観客で満員にしたかと思えば、野田秀樹さんを脚本・演出に迎えて歌舞伎座を沸かせる。

古典芸能の地道な守り手であるとともに、現代を意識した攻めの人でもあった。
<98%守って、2%攻める>との信念であった。
歌舞伎は98%が伝統で、97%になると歌舞伎ではなくなるからだ。

2013年に亡くなられた12代目 市川団十郎さんも同様に語っていた。
<われわれが様々に模索しているのも、先祖たちがつくった98%の残り、2%の中>だと。

観客の高齢化などを考えれば、人気の歌舞伎にもいずれ冷え込む日が訪れないとも限らない

98%を守ってよし、2%を攻めてよしの中村勘三郎さんは、若い頃からわかりやすい歌舞伎を模索して、若い観客を取り込んできた。

その“創造的人生の持ち時間”は、(私のような)凡人の寿命には及びもつかない長さだったような気がしてならない。