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日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

事実とは落語よりも奇怪なり

 

この秋スタートのテレビ番組はなかなかおもしろい。

その中で異彩を放つのが『超入門!落語 THE MOVIE』(NHK)である。
プロ落語家の口演に合わせ、俳優が当てぶりと口パクで物語の世界観を映像化するものだ。

その発端は、BSプレミアムで昨年10月に放送された『たけしのこれがホントのニッポン芸能史』の落語特集のコーナーだという。落語家が口演した『茶の湯』を俳優が当てぶりで演じたところ、出演者たちが絶賛した。そして、今秋から25分番組としてレギュラー化になった。

寄席などで落語を収録し、その音源をロケ現場で実際に流しながら、映像を撮る。

番組プロデューサーいわく、「人形芝居の人形のようなもので、自分の間までは演じられない。ベテラン俳優ほど苦しんでいますね」と。

初回放送で花魁を演じた前田敦子さんなどは、口パクがピタリと嵌まり、まるで操り人形みたいで、観ていて笑い転げた。

 

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落語の登場人物といえば、善良でお人好しの庶民か。にくめないダメ人間もいれば、人の頼みを断りきれない者もいる。あとさきを考えず、すぐ行動するそそっかしい人間も。
打算が介入した悪知恵を働かせる者もいるが、だいたいがまぬけだったりする。

一年半前、落語かと思われる事件が起きた。
悪事を茶化す気持ちはないが、あまりにも落語的で忘れられない。

ことの発端は、無職男(65)が兵庫県尼崎市の交番に訪れたことだ。
その男は(パッケージ入りの包丁を見せて)「包丁を万引きした」と、交番勤務の男性警部補(48)へ告げた。

そこには、部下の男性巡査部長(34)と女性巡査(25)もいた。

男性警部補は(部下に)県警本部へ身元照会させ、男が指名手配されていないことなどを確認。そして、無職男を説得した。「なにごともなかったことにしよう」、と。

警部補は、自首の事件を扱ったことがなく、処理が面倒との気持ちだった。
納得できないのは、「万引きした」と説明したのに、無罪放免にされる無職男である。。

 

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結局、警部補に命じられたふたりの部下が男を車に乗せ、窃盗現場のホームセンター(尼崎市)に立ち寄り、巡査部長が「拾った」ことにして包丁を返した。
そしてご丁寧に、男の住まいがある大阪市内まで送り、男を降ろしたという。
諦めきれない男は、車の中で自分が万引きしたことを訴えていたそうだ。

その男は翌日、同市内から和歌山市までタクシーに無賃乗車して、和歌山県警に詐欺容疑で現行犯逮捕された。そこで、事のあらましが明らかになった。

調べで「自首したのに追い返された」との男の説明で、3人は容疑を認めたという。
その際、警部補は「面倒だった上、男の目的が留置場の食事のようだったので、事件として処理したくなかった」などと供述。部下2人は「上司には逆らえなかった」と話した。

兵庫県警幹部は「職務怠慢でしかない恥ずかしい事案だ。誰もやめようと声を上げなかったのも情けない」と話した。

窃盗事件の容疑者を逃がした疑いと警察車両で大阪市まで送り返したとして、県警は、警部補を停職6か月の懲戒処分とした。警部補とともに書類送検された部下2人は、巡査部長についても戒告の懲戒処分が下された。

にくみきれない登場人物ばかりではあるが、落語のように粋なオチにならぬのが「現実」のようである。

 

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