日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

子どものときからあのまんま

 

位置商標というのがあるらしい。特定の場所に配置された図形や色で商品が識別できる場合に認められるものだという。

特許庁によると、国内での位置商標は約50件が登録されている。その中に日清食品ホールディングスの主力商品である「カップヌードル」も含まれている。

2018年に、カップヌードルの容器側面に描かれる上部と下部の(バーコードのような)帯状のデザインが、特許庁から位置商標として登録された。ロゴやブランド名がなくても、図形の配置とデザインだけでカップヌードルと広く認識されるからとの認定らしい。

そのデザインは、開発者で同社の創業者・安藤百福さんが、デパートで見かけた洋皿の模様をモチーフにして発案。今も同じデザインで、カレーやシーフード味などすべてのカップヌードルシリーズで使われていて、1971年の発売からずっと変わらない。

 

 

おばあさんを久しぶりに見かけた男が、こんなことを言う。「あそこにおばあさんがいるでしょう。あのおばあさん、あたしが子どもの時から、あのまんま、あのおばあさんなんだよ」。落語『付き馬』にて、浅草寺の境内で鳩の餌を売るおばあさんへの一節だ。

子どもの時から見覚えがある人の中にはどういうわけか、あまり変わらず、年さえ取らない気のする人がいる。また、年をとる経過はわかっても、中身はずっとそのままに感ずる人もいる。私にとって落語家の桂歌丸さんはそうだった。子どもの頃からのファンである。

1966年に始まった『笑点』の大喜利も、70年代に演芸番組をキャラクターショーに変えたといわれる大ブームが起きた。

30歳代で髪の薄い歌丸さんと、“キザ”が売り物の四代目三遊亭小円遊さん(39年前に急死)の大バトルである。この2人の罵倒のかけ合いは番組の看板として定着していくことになった。

 

 

大人気の罵倒合戦はテレビの技術革新とまで言われた。実際の2人は歌丸さんが1年先輩ということで、小円遊さんに古典落語の稽古をつけたりと、とても仲良しだった。

ただ当時は純粋な視聴者が多く、2人が一緒にいるところを見られると「仲が悪いはずなのに」と不思議がられるため、旅先などでも離れて歩くようにしたらしい。

日本が高度経済成長の坂道を一気に駆け上がった時代に生まれた『笑点』。今も視聴率ランキングに顔を出す人気番組である。

その初期からの大喜利メンバーの歌丸さんは、体調が悪いときでもキャラクターショーのネタに変えたかのように、ひょうひょうと私たちを楽しませてくれた。私が子どもの頃から、あのまんま、あの歌丸さんなんだよ・・・と。