日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

些細なことほど大げさに考えてしまう哀しき本能

 

英国の歴史学者及び政治学者のシリル・ノースコート・パーキンソン(1903~93年)が56年前に唱えた法則は、現在にもよく当てはまるようである。

1958年の著書『パーキンソンの法則・進歩の追求』にて提唱されたものである。

その第1法則が「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」というもの。イギリス帝国が縮小していたとき、殖民地省の職員数は増加していたという。

 

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役人はライバルではなく、部下が増えることを望む。そして、相互に仕事を作り合う、と彼は唱えている。官僚制内部の総職員数は、仕事量の増減に関係なく毎年5~7%増加したとも指摘している。

第2法則では「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」というもの。このあたりは、私も思い当たる節が多々ある。少し浮いたお金が手に入ると、飲み歩きが多かったり、Amazonさんのサイトを開く回数が頻繁になる。

 

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また、パーキンソンの法則を、コンピュータ関連に照らし合わせてみると、「データ量は与えられた記憶装置のスペースを満たすまで膨張するもの」だとか。システムに組み込まれるメモリ容量の増加で、より多くのメモリを必要とする技術の発展を促すらしい。

めまぐるしいWindowsのOSの歴史を思い浮かべてみれば、わかりやすいのではないだろうか。たいした進化もないのに、OSだけがどんどん重くなり、PCのスペックもそれに合わせなければならなくなる。こういうのを「いたちごっこ」と言うらしい。

 

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上記の法則とほぼ同時期に「組織は些細な物事に対して、不釣り合いなほど重点を置く」という主張が発表されている。これが「パーキンソンの凡俗法則」と呼ばれているものである。たとえば、原子炉の建設計画に関しては、あまりにも巨大な費用が必要で複雑であるため、一般人には理解できない。

話し合っている(中心の)人々は、しっかりと理解しているのだろう、と思いこみ口を挟まない。そうなると、強固な意見を持っている人の思う壺である。一般人を押さえ込むことにより、審議は「着々と」進むことになる。

 

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自転車置き場の設置について話し合うときは、屋根の素材をアルミ製にするかトタン製にするか、といった些細な話題の議論が中心になってくる。

自転車置き場を作ること自体が良いアイデアなのか、などとの本質的な議論は起こらないのである。自転車置き場については誰もが理解しているため、設置についての終わりのない議論がどんどん生じてくる。関係者の誰もが自分のアイデアを加える。自分の存在を誇示したくてたまらないのだ。

さらに、委員会の議題がコーヒーの購入といった、より身近なものになると、議論はさらに白熱し時間を最も無駄に消費する。この類(たぐい)の会議は、仕事でさんざん体験している。つい最近では、自宅マンションの集まりで同じようなことが始まり、貴重な時間をたっぷりと奪われたばかりである。