つながることで得られるもの
モノとモノをつなぐと言われても、理解しにくいのがIoT(Internet of Things)である。パソコン、スマートフォン、タブレット端末がインターネットにつながるのはよくわかる。それがIoTでは、ネットにつなぐものが家電、自動車、センサーなど様々なものに広がる。
公園のゴミ箱でさえ、センサーをつけてネットにつなぐという。ゴミの量がネットで確認できて、収集車の台数や走らせる頻度が判断できる。それで、人件費やガソリン代の節約にもなる。アメリカでは回収コストが3分の1になったとのこと。
日本で赤字のバス会社が、衛星を使った位置情報と乗降客数を数えるセンサーをネットにつないで黒字化した例もあるらしい。継続的に取得したデータから、バス停の配置や時刻表を見直したのだ。
IoTの本質は、センサーやネットを使いアナログのものをデジタル化すること。何をつなげるかは創意工夫次第だといわれる。
自動運転の開発では、走行速度や前の車との距離などの各種データを集める。IoTの役割はデータを採ることで、裏方の仕事のようだ。それは、10年、20年かけてじわじわと産業や暮らしに入り込んでいく。
パソコンとインターネットが一般化されて約20数年。政府は成長戦略「第4次産業革命」を進める。ビッグデータ、AI(人工知能)と並び、IoTは“魔法のつえ”の如く称されている。
流通業界では、2010年度に約3万人だったドライバー不足が、20年度には約11万人にまで膨らむ見通しとのこと。ドライバーの高齢化が進むなか、十分に若手を確保できていないのが要因の一つである。
昨年、宅配最大手のヤマト運輸はライバル企業に、トラック輸送の連結協力を呼びかけた。深刻なドライバー不足を解消するため、高速道路での共同輸送に取り組む方針だという。
企業の枠を超えた連携によって、(インターネット通販の拡大で)取扱量が急増している
物流インフラの維持を図るのだ。
共同輸送では、先頭の大型トラックに他社のトレーラーを連結して、高速道路を走る方式を検討。そのことで、先頭車両のドライバー1人でトラック2台分の荷物を運べるようになるという。高速道路の外では各社が自社のトラックで待ち受け運ぶ。
ドライバー不足対策を後押しする国土交通省も全長25メートルの連結トラックの解禁を検討(昨年の時点)とのことであった。
古くから「押してもだめなら引いてみな」との言葉がある。IoTや流通トラックでの“人手不足とコスト削減”に関しては、<限界見えたらつないでみな>の発想なのである。