日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

温暖化だけと思えば大間違い

 

二酸化炭素が増え、地表の熱が宇宙へ逃げにくく、地球の平均気温が上がってしまう現象が“地球温暖化”である。暑い夏が増え、台風が強くなる。他にもいろいろな現象が起きている。

増えた二酸化炭素は海にもたくさん溶けて、海洋の酸性化が進むといわれる。
ウニが育ちにくく、カキなどの貝類の成長の異変、サンゴの分布も変わるかもしれない。深刻なのは、ウニや貝など殻をもつ生き物。殻を作れなくなる可能性が高いからだ。

海の酸性化で、生き物はさまざまな影響を受け、生態系をがらりと変えてしまいかねない大問題なのだ。海、湖、コップの水でも、空気と接している液体には空気が溶け込む。空気に含まれる二酸化炭素も当然に溶け込む。二酸化炭素が溶けた水は酸性に傾く。

ウニの殻や貝殻は、“炭酸カルシウム”という物質でできている。炭酸カルシウムは、海に溶けている“炭酸イオン”と“カルシウムイオン”が結びついてできる。しかし、海に二酸化炭素がたくさん溶け込むと炭酸が減り、炭酸カルシウムができにくくなる。

 

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骨格を作るサンゴを“造礁サンゴ”という。サンゴ礁の土台となる“岩”はウニの殻や貝殻と同じ炭酸カルシウムでできている。海が酸性化して炭酸カルシウムができにくくなれば、上述のとおりである。もうそこにサンゴは住んでいられず、サンゴ礁もできない。

それぞれのサンゴは小さいが、体を寄せ合い群れとなり、共同で大きな骨格を作る。それは石のように硬い炭酸カルシウムの骨格なのだ。サンゴは外骨格のくぼみに身を潜めて生活している。

サンゴの多くは、褐虫藻という小さな植物を体内にたくさん飼っていて、太陽があたると(褐虫藻が)光合成で栄養分を作り、それをサンゴはもらっている。サンゴ礁には多くの魚なども住みついて、豊かな生態系をつくる。

たくさんの魚が群れ遊ぶサンゴ礁。日本はサンゴが豊富だといわれている。
しかし、(九州南部や沖縄の海でみられる)熱帯・亜熱帯のサンゴが、2030年代には酸性化の影響でいなくなってしまうと危惧されている。

 

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日本沿岸に生息する造礁サンゴは、約400種といわれる。
最低海水温が摂氏18度以上ならサンゴは生息できる。その限界線は、現在の九州、四国沿岸からだという。

今、造礁サンゴがみられる四国、九州の南部、沖縄への海域は、(炭酸カルシウムのできやすさを示す)飽和度が“3”以上で健全である。

それが、2020年代では“3”以上の海域面積が21世紀初頭の半分以下に減り、鹿児島県南方の島々や沖縄だけがかろうじて残る、との予測だ。2030年代では、それもなくなり日本から造礁サンゴが消えるというのだ。

形だけのサンゴ礁が残っても、そこにサンゴがいないと、豊かな生態系を育むことができない。サンゴ礁だけに限らず、海の酸性化で炭酸イオンの濃度が減少し、生き物たちにとって成長に必要な炭酸カルシウムが作りにくくなるのである。