日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

lifeのなかにifがある

 

スマートフォンに続く次世代端末はウエアラブル(wearable)だと訊いたことがある。ウエアは「着る」「身に着ける」という意味で、「衣服」や「衣類」も指す。
つまり、ウエアラブルとは「着用可能なコンピュータ」なのだそうだ。

スマートフォンは携帯電話とコンピュータが一体化した、持ち運び可能な“携帯端末”であるが、もっと小さくて、身に着けることができるウエアラブルコンピュータは“着用端末”との位置づけなのだ。

具体的な形としては、メガネ型や腕時計型の端末を思い浮かばれることであろう。
子どもの頃から慣れ親しんで観てきた<“007”等のスパイもの映画>の世界が、現実化しているような気がする。

 

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着用端末の開発は以前から行われてきたが、電子機器の小型化や高性能化が進み、IT大手企業が商品化に本腰を入れ始めたことで、関心は一気に高まった。メガネや腕時計のほか、衣服やベルト、アクセサリー類などに端末を埋め込む試みも進んでいるようだ。

そういえば何年も前から、マラソンやウォーキング、サイクリングなどのレース系イベントにおいては、すでに着用端末が実用化されている。参加選手たちは靴の紐やゼッケンなどに超小型端末を装着してレースにのぞむ。その順位やタイムを始め、あらゆるデータ集計に大活躍のようである。

また、現在走っている場所の情報や予想ラップタイムを、WEBページとして公開できるアプリもあり、参加選手の家族や友人など応援している方が、選手の居場所をほぼリアルタイムに把握できる。伝言板の機能が搭載されていれば、応援者が走者に応援メッセージを伝えたり、走者が応援者に伝言を残すことも簡単にできてしまう。

 

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情報通信の世界では、インターネットやセンサーを通じて日々生み出される膨大な電子データのことをビッグデータという。ネット通販の購入履歴や交流サイト(SNS)上の書き込みなどはその一例で、街中に置かれるようになった防犯カメラの画像情報も、代表的なビッグデータと言える。

こうした情報をうまく使えば、新しいビジネスチャンスが生まれるかもしれないと、多くの企業はビッグデータの活用法を模索している。政府の規制改革会議などでも、その答申にビッグデータの活用を盛り込むと訊く。

そのビッグデータに関連して、注目が高まっている新語がダークデータだという。
直訳すれば「暗いデータ」なのであるが、いったいどのような意味なのであろうか。

 

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ダークデータとは、<(ビッグデータの中での)当面は使い道のない一見無駄なデータ>のことを指す場合が多いようである。
コンピュータの利用履歴ファイルや、データ記憶装置などに蓄積されてきたものの、どう扱っていいか誰もわからず、放置されたままのデータなどのことなのである。

こうしたデータは今のところ日の目を見ずにいるけれど、いつか役に立つかもしれないから、誰も破棄する気にはなれないでいる。つまり、今は活用できないため、目には見えてこないデータなのだ。
<暗がりの中に蓄えられたデータ>なので、「ダークデータ」と呼ばれるのである。

 

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「もしも…」と、大岡昇平さんの言葉にある。
「川端でなく三島が受賞していたら、川端も三島も死なずにいただろう」。

三島由紀夫さんが1963年のノーベル文学賞でゴールの目前、有力候補6人のなかに入っていたと、ノーベル財団が公式サイトで発表したことがある。
その5年後の1968年に川端康成さんが、日本人として初めての受賞者となる。
三島さんが(5年間で)いつしか後退した背景はよく分からない。これもある意味のダークデータである。

自(みずか)ら死を選んだお二人の心の奥底に、受賞の重圧と落選の失意を探ることはできても、真意は天上のお二人に聞いてみないことにはわからない。
詮索してみても始まらない「もしも・・」だが、ついつい考えてしまう。
師弟の川端さんと三島さんはともに尊敬し合っていたという。

暮らしや人生(life)のなかにある「もしも・・」(if)に目を向けてみると、なにかが見えてくるような気がしてならない。