マニアックなドラマの観かた
深浦加奈子さんという女優は、様々な役柄をこなし名脇役と評された。
惜しくも、2008年8月に48歳で亡くなられた。
舞台を中心に活動を始め、テレビドラマ『家なき子』や『スウィート・ホーム』での演技で広く認められるようになった。今も、人気ドラマシリーズの再放送で、深浦さんのお顔を拝見する。名前を知らない視聴者も、テレビではお馴染みの方だったのである。
私がドラマや映画を観ようと思うときの判断は、主演よりも脇役が重視である。
今も、福浦さんのように名脇役として活躍されている女優がいる。
遊井亮子さんである。
BDレコーダーのキーワード録画機能を利用して、遊井さんの出演されたほとんどの作品を観ている。
遊井さんのこなした役の種類は豊富で、脇役の彼女が主役に思えてくるからおもしろい。出演本数の多さもさることながら、お宝映像の作品とも出会える。
ベテラン俳優の小野武彦さんは、(脇役として)若い頃に平社員役などで多くの作品に出やすかったが、年輩になると役職の役に限られ、競争率が大きくなる、と言っていた。それでも、出演されるときは渋くて楽しめる演技をご披露してくれる。
かつて、主役に対して“脇役”や“端役”と呼ばれていたが、最近では「助演者」というニュアンスが強いようだ。<名ドラマの陰にはいつも名助演者あり>なのである。
ドラマ界は主演俳優がほとんど固定化され、制作者の自由が効きにくいといわれる。
その背景にて、制作者の色が出るのは圧倒的に助演者であり、制作者のセンスや力量も表れやすい。
<役者には、良い役者とそうでない役者の二通りしかない>。助演が大半だった蟹江敬三さんは語っていた。
主役をこなした名優も助演者として、その個性と存在感にあふれる好演を見せている。
主演作もある岸部一徳さんという役者の名助演者ぶりは天下一品である。
したたかで、存在感のある演技。
『相棒』での水谷豊さんとの丁々発止のやりとりが忘れられない。今は『ドクターX』にて米倉涼子さんとのコミカルなやりとりが楽しみで、シリーズ再開が待ち遠しい。
岸部さんの演技にはミュージシャンのエッセンスを感じる。数年前の、(GSで一世を風靡した)タイガースの復活コンサートでは、すばらしいベース演奏を披露してくれていた。
思えば、ベースという楽器そのものも名バイプレヤーなのだろうか。
ドリフターズのリーダー・いかりや長介さんも、岸部一徳さんと同じベーシストであった。
俳優としてシリアスなドラマに出られているのを観て、名バイプレヤーだと感激した。
<脇役を引き立てるのが主役>と言ったのは渡瀬恒彦さんだ。
主役、助演で活躍中の内藤剛志さんが、主役を務めたがシリーズ物が続かないときに、渡瀬さんから教わったという。
<台本で自分のことしか読んでいないか。周りの台詞をしっかりと読め・・・>と。
いかにも渡瀬さんらしい、すばらしい言葉である。