日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

嘘の上塗りが闊歩するこの国

 

嘘をつくことはいけないが、よい結果を得る手段として、必要になるのは<嘘も方便>。そして、事実でないことを事実のように作り上げるのが<捏造(ねつぞう)>という。

“捏”の漢音はデツで、ネツは慣用音(呉音としている辞書も)と記されている。
“捏(でつ)”は「作る」の意味でも使われ、「上げる」が付いて<でっち上げる>になる。

<でっち上げる>には、「間に合わせに、形だけととのえて作り上げる」という意味もあるので、“捏造”とはおもむきが変わってくる。

<締め切りに間に合わせようと、あわてて提出書類をでっち上げた>というのは、内容をうそで固めて捏造したわけではなく、とにかく形にしたということになる。

 

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2013年から3年続きで、秋になると“嘘”の絡む大きなニュースが飛び込んでくる。
まず、一昨年の秋は、あちこちの有名ホテルのレストラン・メニューから“偽装”同然の「誤表示」が明るみに出た。

「小ぶりのエビは、すべて<芝海老>と表記していいと思っていた」という記者会見での言い訳にはあきれた。

わずかばかりの後ろめたい儲けと引き換えに、信用の暖簾に泥を塗ってどうなることか、と思いきや、何事もなかったかように、どの店も今までどおりに営業されている。

「区別がおつきになりませんか?」
「うん、つかないなあ」
「それなら、どっちだっていいじゃありませんか」。

こんなジョークもあったようだが、どうせ客にはわかるまいの心境で、今も<でっち上げ>ならぬ、<捏造>精神でも発揮されていたら、たまったものではない。

 

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昨秋、小渕優子経済産業相(当時)の政治資金問題が発覚した。

支援者向けに東京・明治座で開いた観劇会で、赤字が生じたように装うなどして、(小渕氏)関連4団体の平成21~25年分政治資金収支報告書に架空の寄付金を計上。計3億2千万円の虚偽記載と不記載をしたとして、同法違反の罪に問われた

小渕氏の資金管理団体未来産業研究会」は2006年ごろまでにも、収支報告書に記載していない支出が計1億円近くに上り、その使途は、事務所関係者らが東京で飲食をした際の費用などだったという。1億円の飲食とはどのような豪遊だったのであろうか。偽装で得た金なので、偽装メニューレストランでも派手にお金を落としていそうだ。

もっとおどろくのは、彼らがとった行動である。
家宅捜索前、事務所の複数パソコンのハードディスクにドリルで穴を開け破壊されていたのだという。これほど幼稚でわかりやすい証拠隠滅もめずらしい。

元秘書・前群馬県中之条町長と、「未来産業研究会」の元会計責任者が有罪判決を受け、小渕氏本人については、東京地検特捜部が4月、不起訴処分とした。
その後、検察審査会に不起訴不当の申し立てがあったが、検審は不起訴相当と議決した。

 

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小渕氏について<不正処理に関与したり、事実関係を認識したりしていたことは認められず、会計責任者の選任・監督の責任も認められない>と結論づけられたが、秘書たちがなにをやっても知らぬ存ぜぬで、必要書類の中身もまったく知らないという。そのことに関しても、裏で何かあるのではとの疑惑をおぼえるが、もっと呆れ返る結論があった。

群馬県内の事務所で帳簿データなどの入ったハードディスクが、ドリルで破壊されていた問題は、<不調で使用できなくなったサーバーをパソコン販売業者に引き取ってもらったところ、業者がサーバー内のハードディスクにドリルで穴をあけたもの>として、特捜部の捜査には支障は生じなかった・・・そうなのである。

つまり、<パソコン破壊は業者がドリルでやった>ということに、話がすり替わっているのである。

嘘や捏造の連鎖で積み重なった土壌に、いくら杭を打ち込んでも土台はガタガタになるだけ。<嘘の混ざらぬ強固な土台に、頑強な杭を打ち込んでほしいもの>と思う矢先、この秋もその杭は揺らぐどころか、地表にも達していない。

旭化成建材(東京)の杭打ちデータ流用問題で、横浜の傾いたマンション以外でも、杭の安定を装うデータの使い回しが明るみになった。またもや、嘘が嘘を呼び大揺れになっているのである。