日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

四字熟語が逆さに替わり納得

 

作家・水上勉さんの小説『飢餓海峡』にあった。
<木蔭で陽当りがわるいから、茸(きのこ)が生えている>。
(本州最北部の貧しい村にある)粗末な家の屋根の描写である。

松茸などがありがたがられる一方で、じめじめした場所に育つ陰の生き物という印象がキノコにはあった。今はもっぱら健康食品のイメージだろうか。

その消費量が経済成長の指標になる、との説もあるらしい。
国民所得が増え、たんぱく質や油脂の多いものに食事が変わる。
そのため生活習慣病が出始め、健康への関心が高まりキノコがよく売れる。

こちらも生活習慣病なのだろうか。今年も政治とカネでしくじる政治家たちが目立った。
国民所得は停滞気味なのに、税金を我が懐へどうやって入れようか、との算段で。

 

1709

 

“一罰百戒”とは、一人の罪や過失を罰することで、他の多くの人々が同じような過失や罪を犯さないよう戒めとすること、との意味だという。

四字熟語の言い間違えでは、妙な意味につながることがある。
大蔵省の事務次官だった谷村裕さんの随筆にあった。

省内の会議で、ある幹部が政策を説明して意義を語ったという。
「これこそ“百罰一戒”というものであります」、と。
たしかに、懲りない“百罰一戒”がまかり通るのは政治の世界かもしれない。

小渕優子経済産業相(当時)に政治資金の疑惑」も、たった2年前のこと。
(ことの成り行きが)尻切れトンボのままなので、もっと昔のような気がしてならない。

2014年10月20日午前、政治資金をめぐる疑惑の件で、安倍首相と会談後、経済産業大臣の辞表を提出。その後、経産省で辞任記者会見を行った。

政治資金の疑惑が浮上していた。観劇。ベビー用品。親類の経営する服飾店への品代。後(のち)の調べでその額は3億円を超えていた、とも。

疑惑の品ぞろえを眺めた印象だけでも、“軽率”や“ずさん”の域を超えて“やりたい放題”に近い。

 

1710

 

元総理を父に持ち、これまで政治とカネでしくじる政治家たちの受けた百罰をさんざん見てきただろうに、戒めひとつ汲み取れなかったのだろうか。

自身の事務所の政治資金報告書に「疑念を持った」として、専門家を入れた第三者に調査を依頼する方針を示した。誰もが得心のいくよう、丁寧に説明もすると。

あのときは言っていたが・・・。

江戸川乱歩さんは執筆に行き詰まると、極度の人間嫌いに陥ったという。
世の人間嫌いには、<気配りを絶やさぬ篤実な人物>が実は少なくない。

ある日、尊敬する先輩作家・宇野浩二さんが自宅に訪ねてきた。
乱歩さんは「旅行中」と居留守を使ったが、嘘をついた罪の意識で家に居たたまれず、温泉に出かけて宿から宇野さんに手紙を書いた。
「あなたにお詫びするために、ほんとうに旅をしています」と。

不正発覚後の議員さんたちも、急に“極度の人間嫌い”になるようであるが、乱歩さんのような誠意をみせることはできないものであろうか。