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日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

マカロニ・ウェスタンのルーツ

 

昨日、スパゲッティを食べながらふと思った。なぜマカロニ・ウェスタンはスパゲッティ・ウエスタンではなくマカロニ・ウェスタンになったのだろうかと。

そこで頼りになるのがウィッキー(Wikipedia)先生であった。
セルジオ・レオーネ監督の『荒野の用心棒』が、日本に輸入された際、映画評論家・淀川長治さんが<スパゲッティでは細くて貧弱そうだ>とのことから、「マカロニ」と呼ばれるようになったそうである。

ということで、1960年代から1970年代前半に作られたマカロニ・ウェスタンは、“イタリア製西部劇映画”を表す和製英語となり、日本でも大ブームが起きた。

マカロニ・ウェスタンの大半はユーゴスラビア(当時)やスペインで撮影され、イギリス・アメリカ合衆国・イタリアなどでは、スパゲッティ・ウェスタン呼ばれたそうだ。

 

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マカロニ・ウェスタン発生の先駆のひとつとしてカール・マイ西部劇と言われる西ドイツ映画があげられるという。19世紀の作家で冒険小説を数多く書いたカール・マイさんには、ネイティブ・アメリカンを主人公とした作品がある。それがドイツでさかんに映画化された。マカロニ・ウェスタンの制作や俳優の面でも、西ドイツ映画界がかなり関与した。

また、イタリア史劇映画『ベン・ハー』、『十戒』などの史劇ブームがあり、こちらのモチーフとカール・マイ西部劇との融合がマカロニ・ウェスタン誕生のきっかけになったともいわれている。そして、セルジオ・レオーネ監督の『荒野の用心棒』が大ヒットして、数々の作品があとに続く。

レオーネ監督が確立したといわれるマカロニ・ウェスタンの基本路線は、“アンチ・アメリカ西部劇”であった。ジョン・フォード監督などの西部劇は主人公が高潔で見ていて気分がよくなるようなものである。マカロニウェスタンは反対に、主人公は良心などというもの皆無で褒められるような人物ではない。

制作費を安く上げるためにスペインでロケをしたり、ハリウッドの駆け出し俳優を使い残忍で暴力的なシーンを多用した作風が、当時の西部劇の価値観を大きく変えた。

 

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また、レオーネ監督の『荒野の用心棒』は映画音楽と絵との関係も変えた。それまでのように常にバックに流れていたオーケストラでなく、<音で絵を描き、セリフの代わりに音楽でストーリーを語らせる>方式にしたのだ。

口笛を使ったエンニオ・モリコーネさんのテーマ曲も一世を風靡した。ストーリーは黒澤明監督の『用心棒』をそのまま使い、後に盗作で訴えられている。

役者として招いていたハリウッドのB級俳優(当時)の中には、売り出し中のクリント・イーストウッドさんがいた。そして、ハリウッドでは悪役専門だったリー・ヴァン・クリーフさんが主人公に据えられたりした。イタリア人の俳優では、フランコ・ネロさんやジュリアーノ・ジェンマさんが有名である。どの役者さんもカッコよくてワクワクしたのを思い出す。

 

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マカロニ・ウェスタンは日本でも人気を集め、その影響を強く受けた時代劇が作られるようになった。映画では五社英雄監督の『御用金』、三隅研次監督の『子連れ狼』など。テレビドラマでの『必殺シリーズ』や『木枯し紋次郎』も同系統の作品といえよう。

イタリアからは、ジュリアーノ・ジェンマさん、フランコ・ネロさん、テレンス・ヒルさんたちがスターとなり、大型予算を投じた作品も撮られるようになった。

しかし、1970年代に入るとそのブームは急激に失速していった。
マカロニ・ウェスタンは「既成のヒーロー像の反対を行く」というのがコンセプトであったため、強烈なインパクトのあるアンチ・ヒーロー像を必要とした。その要求を満たすため様々な主人公が考え出されたが、あまりにも量産されてアイデアが枯渇されインパクトに欠けて、観客も食傷気味になってしまった。

 ブームはとっくに去っているが、マカロニ・ウェスタンのエッセンスは今も確実に受け継がれていると思える。人気テレビドラマ『ドクターX』の原点もマカロニ・ウェスタンだとよくいわれる。

マカロニ・ウェスタンのラストには、悪者がすご腕のガンマンにバッタバッタと倒されていくのがお決まりで、『荒野の用心棒』や『夕陽のガンマン』のテーマソングは口笛で、これから主人公が活躍するぞ、というところには決まりの音楽が流れる。

そして、主人公に権威はなく、自分の腕だけで悪者の権力者を倒す。一癖も二癖もある人物像は決して清廉な人として描かれていない。

視聴者たちと同じような権力のない人が、権力ではなく専門技術で悪者を懲らしめてくれる。『ドクターX』でもフリーランスという(組織社会では下として扱われる)主人公が、すご腕を発揮して権力者を圧倒している。

 

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ジョン・フォード監督の西部劇にあこがれた黒澤明監督は名作『七人の侍』を世に送った。その作品から『荒野の七人』(1960年)という王道の西部劇が生まれ、シリーズ化された。

『野獣暁に死す』(1968年)というマカロニ・ウェスタン作品には、仲代達矢さんが出演している。仲代さんといえば、まさにマカロニ・ウェスタンのルーツといえる黒澤監督の『用心棒』で三船敏郎さんの敵役を演じた方である。これもなにかの縁であろう。

この『用心棒』という作品がなければ、『荒野の用心棒』が存在しなかったのである。はたしてマカロニ・ウェスタンの大ブームが起きたかどうかもわからなくなる。

『王道の西部劇』と『革命的な西部劇』。
このどちらの鍵を握っていたのも、日本の黒澤明監督であった。
今考えると、ものすごい作家である。

参考:Wikipedia

 

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