日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

昔取った杵柄(きねづか)は大事にとっておこう。それが何よりの個性なのだから。

 

若い頃のシーンはモノクロよりもセピア色に近い。最近、よく思うようになっている。
吉田類さんのテレビ番組『酒場放浪記』のオープニングに出てくる古い酒場。
かつては、ああいう酒場が多かった。そして、出会った人もたくさんいた。

人生に偶然はなく、すべてが必然なのかもしれない。実は見えない力にによって、あらかじめどちらを選ぶかが決められていたりして。人とのかかわり合いや自分の行動においても。

 

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<自分の人生はなにかと考えたとき、“時代の目撃者”という言葉が浮かんできた>。
数年前に、秋元康さんがラジオで言っていた。歴史とは「目撃したことの受け継がれ」なのだと。

力道山のプロレスを観た。長嶋選手の引退を観た。歴史に残る数々の事件をも。
直接ではなくとも、テレビを通じてリアルタイムで目撃したということだ。

また、人から教わることも“時代の目撃”かもしれない。
うんと若かりし頃、喫茶店でお話を訊いて「(人には)期待してもアテにするな」との言葉が今も忘れられない。

『新体道』創設者の先生がおっしゃっていた。新たなる格闘技を生み出し、組織が大きくなり始めの頃である。その先生とは、その後まったくお会いできていない。まさに一期一会である。自分が職場で部下を持ったとき、その言葉が活きた。

 

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「野望より野心を持て」とおっしゃっていたのは、俳優の原田芳雄さんである。
野望は他人まかせ。<自分で切り拓くべし>との気持ちであろう。名前を売り出す頃の原田さんの、野性的な演技が脳裏をよぎる。

そういう話を訊くのが好きで、いろいろな年齢層の方たちとよく飲んで酔った。
とくに、年長者のお話が好きでたくさん訊いた。

「誉め殺し」なる言葉が流行る前から、私は“誉め上戸”でお酒が入るとマメになる。
素面(しらふ)のときに嫌だと思っていた人でも、その人の良いところしか見えてこない。そして、相手の方もうれしくなって、たくさん話してくれるのである。

 

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そういえば、父親は私のその二面性を熟知していて、私を連れ出すときはいつも、<酒を飲ます>が餌であった。本人は下戸でまったく飲めないのであるが、宴席が大好きで人を集めては私に召集をかける。

<親というのは子どもが失敗したときのためにいる。成功させるためにいるのではない>という言葉はおもしろい。私の父親もこんな感じだったのであろう。
「誉め上戸」や「盛り上げ好き」になったのもこの時期がきっかけである。今思えば、父親にそれを仕込まれたのかも知れぬ。

 

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いっしょに飲みながら、相手の方の長所を教えると、本人は気が付いていないことがよくある。自分の長所に気がつかず、欠点ばかりを気にする人は多い。ご本人も周囲の人もなかなかわからない長所を発見して、教えてみることは相手も喜ぶし、自分も楽しくなる。

“宴会屋”で盛り上げるのが好きなだけなのであるが、これが<昔取った自分の杵柄>である。おかげで、若い頃もいい歳になった今も、年上の人に遊んでもらっている。

もちろん、若い方とも飲むのであるが、年上の方たちが、私のトークでうれしそうにお酒を飲む姿を見るのが、とてもうれしい。本日は休日で、これから1時間後に飲み会へ出かける。そしてすでに、待ち合わせの時間を待ちきれず、相手の方々から確認の電話が入っている。