こころの伴わぬ資格保持者達
世界の肥満や体重超過の人は約21億人とのことである。
肥満率の高いメキシコ市では、<スクワットを10回やれば地下鉄やバスが無料>との奇策。いつか読んだ記事だが、今でも続いているのか。
そのカウントは、専用機械の上でひざの屈伸運動をする。その光景を想像すると微笑ましいが、メキシコ市では成人の7割、子どもの4割が肥満だという。
高血圧、糖尿病、高脂血症、それに肥満が重なると、脳卒中や心筋梗塞を起こしやすい。それを防ぐには、各自で律するほかはないようだ。
3ヶ月前、身内の緊急入院後に私を呼びつけた男性医師は、私の顔をほとんど見なかった。パソコンの画面とにらめっこだ。それも古いパソコンで、立ち上がりに20分を超えた。その間、沈黙のままだ。
やっと開いたモニタのグラフで、わかりにくい日本語の羅列。<意識はあるのか?>と私の問いで首を振った。数時間後に、身内は亡くなった。
もちろんいい医師もいるはずだ。それでも、こちらから医師を選べる状況ではなかった。
<患者の数だけ治療法があるといってよい>。医師は患者の生まれや育ち、生活の背景まで知る必要があるという。名医でなくていい、せめて誠実な医師に診てもらいたい。
某医科大病院神経精神科の医師は、“精神保健指定医”の資格を不正取得したという問題が起きた。昨年のことである。
精神科医11人が、厚生労働省の定める“精神保健指定医”の資格を不正に取得していた。診察してもいない患者を診察したと偽って申請していたようだ。
そして、先輩医師のリポートの内容を引き写すことが当たり前であったというから驚く。
<He is nice doctor>(彼はニセ医者だ)。英文和訳のジョークである。医師の資格はあっても、指定医としてはニセ医者である。信じて病院を頼った患者と家族を裏切った罪は重い。こういう先生のお世話にはなりたくないものである。
動物写真家・岩合光昭さんの『おきたらごはん』(著・写真)は心がなごむ。
幼い野生動物らの寝顔と食事の場面を収めた写真絵本である。
<しっかり寝て食べて大きくなる。子供にとって一番大切なことを伝えたい>との、岩合さんの気持ちが伝わってくる。
安心して眠れるように子供を危険から守り、そして、ひもじい思いをさせない。
親の本分は人間も変わらない。戦火の下で飢える子どもも世界には数知れない。
被災地では今も、必死に子どもを守る親たちがいる。お金があっても食べ物が手に入りにくい状況だ。自分の食べるものを後回しにしても子どもを先に食べさせる。
熊本県の営業部長として大活躍のくまモンが、部長代理に降格したらしい。
こちらも昨年の話である。ダイエットの失敗がその理由とか。
メタボを指摘されたくまモンは、ダイエット宣言をしたのに、体重も体脂肪率も減らせなかった。2月にファンからチョコを山ほどもらい、食べ過ぎたのも敗因とのこと。
もちろん話題づくりのユーモアであったが、大地震の止まらぬ今の熊本では、それを楽しめる余裕などないはずだ。
昨日の国会答弁で、安倍晋三首相は(熊本地震を受けて)来年4月に予定している消費税率10%への引き上げの先送りを求められた際、<リーマン・ショック級、大震災級の事態にならない限り予定通り引き上げていくという基本的な考え方に変わりはない>と述べたようだ。
被災地では今も大きな揺れに住民のみなさんが苦しんでいる。その最中(さなか)に、よくこういうことが言えるものだとあきれ返る。
<この震災は大震災級ではないのか? 東北大震災より大したことがないのか?>。
首相という資格以前に、人間として欠けているなにかを感じてならないのである。