日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

短文を目指すも散文になった

 

まだまだ寒い日が続く。目が覚めても布団から抜け出せず、あと5分などと思いながら再び寝入り、あわててしまう朝もよくある。一年のうちで、もっとも長く眠るのは今頃なのであろうか。

<豆腐積み暁の闇ひらきゆく我が灯にかすかな氷雨きらめく>。
松下竜一さん著『豆腐屋の四季 ある青春の記録』は、1960年代の青春を刻して読み継がれる歌文集である。その中にある「単車で豆腐を運ぶ情景」を詠んだ歌なのである。

肌を刺す雪片により「生」を確かめることができる。自らの日常を綴り、松本さんは語る。半世紀前も今も、豆腐店の朝が早いのは変わらない。

 

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食育」という言葉がある。かつて、小泉首相は施政方針演説で、「食育」を国民運動として展開すると述べた。大人にも子供にも食生活の大切さを知ってもらうためだという。
また、小泉さんは「今の子供は小さい時にろくなものを食べていないので長生きできない」
などとも語った。

食糧不足の時代ならまだしも、歴代の首相で子供の食事にまで言及した人はめずらしいだろう。小泉首相の言葉に、当時の中山文科相が「米飯給食をもう少し増やせないかと思っている」と応じた。本来なら、侮辱されたと親たちから抗議が殺到してもいいような二人のやり取りであるが、政府として心配せざるを得ない現実があった。

時間がない、食欲がないから、と朝食を食べない子供が増えて、親が食事を作らないケースもあったという。学校で朝も給食を出すような動きもあったらしい。
10年後の現在、「食育」はどのように改善されているのだろうか。

非行対策でどんなに家庭教育の大切さを説いても、何の解決にもならない。まったく耳を貸さない親も多かったそうだ。「食育」は家庭を抜きにしては成り立たない。子供には心のこもった手作りの食事が必要だ、と多くの専門家が指摘する。

 

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将棋の故・塚田正夫名誉十段は温厚な人であるが、あるとき酒場で見知らぬ男と口論になった。「勝負するか」と喧嘩を売ると、相手が応じた。
塚田さんは酒場の従業員に告げた。「おい、将棋盤を持ってこい。負けたほうが青酸カリを飲む」。

「えっ、素人を相手に本業で闘うの?」 
同行していた故・芹沢博文九段が驚き、その後自身のエッセイに記している。

自分のいちばん得意な勝負を挑むこと。勝っても、もともとの諍(いさか)いの種は解消しないことや周囲をたまげさせること。大阪市長・橋下流の喧嘩作法に似ている。

最近では<橋下市長、都構想で職員に「できないと言うな」>との記事が話題になった。
大阪都構想の準備作業に関し、市役所で記者団に「個々の職員が『(目標までに)できない』などとメディアに向けて個人の感想を言うことは許されない」と述べ、<職員に対して発言を控えるよう「情報統制」する>考えを示したとか。

<「ふ」を「と」へと橋下棋士が秘策練り>。はたして、歩(府)が“と(都)金”に成る妙手は、うまく見つかるのだろうか。

 

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『現金に手を出すな』はギャング映画の古典的名作といわれ、フランスの名優ジャン・ギャバンの代表作でもある。日本公開は1955年なので、今は(題名どおりに)現金を「げんなま」と読める人は少ないかもしれない。

私のイメージでいくと、「げんなま」がトランクに詰まった札束を想像するのに対し、「げんきん」では財布に入る程度のお金しか浮かばない。

何年か前の国政選で、<年にすれば子供1人に何十万円もの手当>を出すとか、<高速道を無料にする>とかで「げんなま」に思いをかきたてられ、後に失望を味わった人は多かったはず。政治は映画ではないから、現実を離れて夢を膨らませすぎると落差が大きい。

銀行からおろしてくる我々の給与は「げんきん」のイメージから一向に膨らまないが、この次に述べる方々の給与は、<まさに「げんなま」そのものの感覚>なのである。

 

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国会議員は、新人もベテランも給与は同じ。無役の議員は月額137万5000円でボーナスが718万円。合計で年収2400万円なのだそうだ。
これに文書交通費(月100万円)、立法調査費(月65万円)を考慮すると年額で約4400万円。さらに公設秘書3人の給与は年間2000万円ぐらい払われるそうである。

ちなみに諸外国の議員年収は、<アメリカ1772万円。ドイツ1375万円。イギリス1165万円。フランス963万円>ということで、日本の議員たちが世界一の高給取りらしい。

世界一の「げんなま」を懐にしている皆様方が、電車賃や切手・ハガキ代をせっせと「げんきん」に替えているところを想像すると、なにか寂しさを感じる。もちろん私だけの妄想なのであろうが。国民の大切な「げんきん」を集めて大きな「げんなま」にしているのだから、無駄遣いだけはくれぐれも慎んでいただきたい。

それにしても、年が明けてまだ40日足らず。いやな事件がいくつも続く。