日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

鑑賞よりも感賞の確率に興味

 

作家の感性はおもしろい。

<あくびを するとき ネコのかおは花のようになります>。
まど・みちおさんの詩『ネコ』の一節である。

小さな口を開け、目鼻がグシャッとなるネコのあくびは、ダリアやバラに見えなくもない。

凛として美しいキキョウ(桔梗)のなかに、脳の病名の一文字がどうして含まれているのか。脳梗塞で入院した新聞記者さんがコラムに書いていた。

作家・色川武大さんは友人との雑談で、日ごろからの疑問を口にした。
「どうして“轢死”には楽しいって字が入っているのだ」と。

<選球眼より選球体>と言ったのはイチロー選手である。
「選球眼ならかんたん。でも、頭で判断すると打てなくなる」。

頭で“打てない”と考えても、体の反応でボール球も見事に打ち返したイチロー選手ならではの名言だ。

 

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イチロー選手は、<打率より安打数>とも常に言い続けている。
打率は減るから、(打席を)逃げたくなる気持ちが生じかねない。
安打数は増えるだけだから、楽しさを感じ打席に入りたくなるのだと。

イチロー選手の安打確率は、頭より体が最優先だったようだ。

“確率”という言葉は元々日本になかったという。
英語で“プロバビリティ”といい、「起こりそうなこと」の意味とか。
難しく訳すなら「蓋然性」、「確からしさ」などの語が該当。

明治期、どれもしっくりこないため「確かな率で“確率”はどうか」との提案が出たそうだ。
「起こりそうなこと」を数字として示しているだけで、計算で導き出した「確かな率」ではないという。

2013年からの1年間では、「50年に1度」の大雨警報が4回も出ていた。
「50年に1度の異常気象」といっても、「50年周期で降る雨」と思うのは大きな誤解らしい。

 

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常軌を逸した事件が後を絶たない。
動物学者・河合雅雄さんは「サル学の中から学ぶことがある」のだという。

群れの中で母親に育てられたサルは母親との接触がどういうものかを実感し、他のサルの母子関係も見ながら育つ。そのため、親になっても大丈夫であるが、母親から隔離飼育されると子育ての方法がわからないそうだ。

ニホンザルは子供の成長に応じて上手に子育てをする。
ニホンザルに限らず動物の子育ては、子供がひとりで生きていく力をつけさせるということに尽きるのだという。

人間は真剣に「サル学」から学び、家族や仲間たちを大切にできる感性を、もう一度しっかりと身に付ける必要があるのではないだろうか。