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日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

伝説の視聴率100%男とは

役者・タレント

 

1980年代前半、(自らの名前を冠した)1週間のレギュラー番組の視聴率の合計が100%を超え、「視聴率100%男」と呼ばれた男がいた。萩本欽一さんである。
今や視聴率20%を超えれば大ヒットと称されるテレビ番組であるが、1970代から80年代にかけて萩本さんが出演した番組は、のきなみ30%以上の視聴率であった。

映画スターは目がたれていない人。目がたれている人はコメディアンになるしかないとの思いで、25歳にコント55号を結成。坂上二郎さんとは一緒にやりたくなかったが、坂上さんは<欽ちゃんの方が優れものだから、欽ちゃんが考えればいい>と年下なのに文句を言わない。そこが二郎さんのすごさ。

できたてがおもしろいからと、前もってネタを考えず、舞台に出なければわからないコントを披露した。マラソンがテーマなら適当に衣装を用意してもらい、コーチと選手との立場を決めるだけ。あとはアドリブのみ。セリフは决めないし、稽古もしない。

 

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おもしろそうと思うと失敗するけど、いやだなあと思うとみんな成功した。萩本さんの体験談である。<運って前からこない。真裏から来るね。こうだろうと思うところからこない>と。

ある時期、司会はできないと断る萩本さんの事務所に司会の仕事しかこなかった。
オールスター家族対抗歌合戦』では、ひとりでは心もとないのか、アシスタントとして女子アナなどをとなりに入れてもらった。当時はタブーのことだったのである。

それでも“欽ちゃん流の新しい司会”が始まった。次はCMです、などと言わない。次のチームはだれだっけ? 次のことを言う人はとなりでやってくれたから。
もし、ひとりだったら前に進まない司会になっていたはずだ。その調子で当時、司会を5本もこなした。いうまでもなく、視聴率もすべて好調。

それも、坂上二郎さんから教わった。嫌な人だなあと思ったら、こんなに気持ちのいい人だった。嫌だ嫌だと避けているけど、嫌なところに需要があるのだ。

 

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萩本さんの(テレビメディアに対する)転機は、以外なところからやってきた。
<「あさま山荘」の中継は全局あわせると視聴率は90%近くありました>と。

あさま山荘の時は55号で稽古していたんだけど、やめました。場面に何の変化もなく、「鏡に影が映っています」というのに数字がいい。これがテレビだというので、“あさま山荘”から「作るテレビ」をやめた>。

<(稽古して少しでも面白くしようとする)自分や、ディレクターが先頭に立って見に行った。それから、稽古やめて「テレビを考えようよ」となった。衝撃的でした。テレビは、何かが起きているだけじゃなくて、何かが起こりそうだってのでも人が集まる>。

テレビは“芸”を写さない。写すと数字が悪い、のだと言う。だから、生々しい現実の方が向いているとのこと。

<芸をやっているとわざとらしいと思われるんですね。そこで、僕は作り物を(見栄晴ら)素人でやった。わざとらしさが出ないと考えましたが、うまくいった>。

稽古して、台本を作ってやると、緊張感も漂ってしまうし、わざとらしくなる。“作り”に見せないことが肝要なのだという。

 

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萩本さんにとっての視聴率とは“責任”だという。コント55号の時、(視聴率は)関係ないものだと気にしなかった。数字を知ってから、<数字を言わないでくれと頼んでいました。20(%)いったり、30になったりしたら教えてくれと言っていました>。

数字と戦っているのは哀れな気がした。人気取りにはなりたくなかった、とも言った。
<昔に比べ視聴率全体が落ち込んで、最近の20%は昔の30%と同じだともよく言れるが、昔とは変わっていないと思う。30%の番組は見てなくても耳に入ってくる。30いったときは、昔と一つも変わっていない、はしゃぎ方から話題の仕方まで>。

やはり、みんなが見ているものは面白い。それよりも、テレビは(娯楽の)1番ではなくなり、2番になった気がする、と指摘する。<録画が増えたというのもテレビが1番じゃないから。2番目だから、生ではなく録画するようになったのでは。一人暮らしの大学生がテレビを買わなくなっているようだ。それなら2番ではなく、3番になる可能性もあるね。1番と2番の差は近いけど、2番と3番の差は結構大きいよ>。

昔は数字が悪くても半年は待ってくれた。萩本さん自身、数字が高くなったのは全部、開始から半年後なのだと。<今は3ヶ月しか待ってくれない。僕は5人くらいで素人とやりますから、始めても100%終わってしまいますね>。

テレビというメディアの本質を知り尽くしている、「視聴率100%男」の言葉はとても重い。

 

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