日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

半世紀前のSF映画が現実化

 

外出先のコンビニでビールを買うことがよくある。
その都度、タッチパネルで年齢確認を求められるが、いまだに慣れない。
生まれて半世紀以上になる人間を見て、未成年とまちがえることもあるまいに。

どなたかのコラムでは、<想像以上に若く見られているのかもしれない>と、前向きに解釈するようにしている、とあった。

日常使う年齢を、“数え年”から切り替える法律が施行されたの、1950年(昭和25年)のことだという。長い日本史の中では“満年齢”の歴史もそう古くはない。

数え年は、生まれた時点で1歳。正月を迎えると一つ年を取るしくみである。もし、大みそかに生まれたら翌日にはもう2歳だ。満年齢への変更で「2歳若返る」ことになる。

明治期から年齢は満で計算するという法律はあったが、日常生活では数え年が主流。
海外の統計と足並みをそろえる目的もあり法制化されたようだ。
今は、血管年齢、骨年齢など健康にまつわる年齢測定も盛んだ。

 

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健康年齢の意識拡大とともに、医療機器の進歩も著しい。
こういう話になると、50年前に流行ったSF映画『ミクロの決死圏』が頭に浮かぶ。

<医師が細菌並みに小さくなり、患者の体内に入り病気を治す>という単純明快なストーリーである。そんな空想が半世紀も前に実写化したことがすごい。

冷戦下の米国の秘密軍事施設で、1時間だけ何でも小さくする装置が完成する。
この時間を延ばす技術を持つ科学者が命を狙われ、頭に重傷を負った。
そして、脳外科医ら5人が小型化した潜水艇「プロテウス」で血管に潜入して治療を試みる・・・。

ミクロ化した原子力潜水艇と医師らが、患者の動脈から心臓、肺を経て脳に入る。
クロサイズの人間に襲いかかる免疫細胞との戦いや、時間内に治療して脱出する展開は、なかなか見ごたえがあった。

 

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腸に入り込んだかのように見える超小型カメラは実現しているという。
口からのむカプセル内視鏡で、長さ約3センチ、見た目も潜水艇っぽいらしい。
自走はしないが、腸の動きで肛門まで到達する。

体に入れる際の苦痛がなく、CTで映らない潰瘍を見つけたこともあるそうだ。
今のところ治療はできないが、患部を焼いて治療するレーザー銃を載せるべく研究は進んでいる。

「ナノ医療イノベーションセンター」のセンター長・片岡 一則さん(工学博士)は、若い頃に『ミクロの決死圏』を見て、医療工学者をめざしたという。

ナノ医療イノベーションセンターでは、大学や製薬企業、医療機器メーカーなどが集まり、ナノ・メートル(100万分の1ミリ)単位の医療技術で病気を治す研究を行っている。
極小技術を使う検査薬や治療薬は“ナノマシン”と呼ばれる。

片岡さんいわく「映画の世界を現実にするんです」。
<様々なナノマシンが診断し治療する『体内病院』を実現させたい>と。
SFからまた未来技術が生まれようとしている。

その技術で、“実年齢”よりも“見た目年齢”の若返り化も進むような気がしてくる。