日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

話し合いの食べ物に合う酒は

 

<起きて半畳、寝て一畳。天下取っても二合半>。金儲けをしても人は畳半分か一枚分。一度に食べられる量も取るに足りない。

とはいえ、年末年始はご馳走にありつけそう。最近は鍋料理もよくいただく。この手の料理は、“話し合いの食べ物”なのらしい。それぞれの好みに合うようにと、薄くしたり濃くしたりして味をととのえる。

俳優・池部良さんの随筆にあった。作家・志賀直哉さんから、(猪鍋を食べさせると)湯河原の家に招待されたという。鍋料理を前に、ご機嫌の先生は味見をかねて、先に肉を食した。ところがそれをテーブルに吐き捨て、庭に鉄鍋を放り投げたとのこと。

味が気に入らなかったらしいのであるが、“小説の神様”と言われた志賀さんも、かなり短気だったようだ。

 

 

本年もあと3日。新年を待たずに酒量も増え始めている。欧州由来の醸造技術でビールの生産が盛んになったのは、明治半ばだという。洋風の食堂などで客が喉を潤す光景が見られることになる。

ビアホールに憧れていたのは、俳人正岡子規さんだったとか。ご自身のエッセイに、見た事のないもので、ちょっと見たいと思う物は“ビヤホール”と記した。

さて、私の好きなビリー・ワイルダー監督の映画『失われた週末』(1945年)の冒頭には、窓にぶらさげた酒瓶が登場して、主人公の作家が映し出される。身内や恋人にいくら注意をされても隠れて飲んでしまう。主人公は必死に酒を手に入れて、あらゆるところへ隠す。

ユーモア溢れる作品のイメージがあるワイルダー監督であるが、アルコール依存症をシリアスに描いた最初の作品になっている。その気持がよくわかるだけに、観ていて悲しくなる。

そういえば昨年に、飛行機内のごみ箱を酒瓶の隠し場所にしていた40歳代の女性客室乗務員が、アルコールを検知されたという問題が起きた。

 

 

男性パイロットの飲酒不祥事は多いようであるが、女性乗務員は珍しいのでは。まずは、乗客に提供していないはずのシャンパンの空き瓶がごみ箱から1本見つかった。

客に提供していないのに、空になっていた。 ⇒ 客以外の誰かが失敬したのか? ⇒ もしや勤務中の飲酒なのか・・・と調査した。

そして、アルコールの臭いを感じたと複数の同僚も証言をして、会社は女性乗務員が酒を飲んでいたと結論付けたのだ。

年末年始は、おいしい料理やお酒も多いので、注意をしなければいけない。この時期に、作家・内田百閒さんに叱られたという出版関係の方のお話を思い出す。

「お忙しいですか」と百閒さんに聞かれ、「忙しくて困っています」と答えたという。

すると百閒さんいわく、<忙しいというのは、ひとに向かって尋ねるときの言葉ですよ。自分で自分を忙しいというのはバカです。1日24時間を自分で適当に処理できないで、どうしますか>と。

なるほど・・と、うなずきながらも、今年はホントに忙しかった。(^^ゞ