子どもの写真を撮る機器は何
カレンダーの残り枚数が少なくなると、時のたつ早さをしみじみと感じる。当たり前のことだが、子どものときより格段の早さだ。
生涯の時期により、時間の心理的長さは年齢の逆数に比例するという。つまり、年齢に反比例するものらしい。それを「ジャネーの法則」というそうな。
60歳の人間にとって1年の長さは人生の60分の1であるが、6歳の人間には6分の1に相当。つまり、60歳の人間の10年間は、6歳の人間にとっての1年間に当たり、6歳の人間の1日が60歳の人間の10日に当たることになる。
理論上の話だけで現実的かどうかわからぬが、(いい歳になっている)自分の今は、その説にうなずけなくもない。
子どもの頃はなにかと写真を撮られることも多いだろう。年輩になると自撮り以外はなかなか撮ってもらえない。
昨年、写真プリントサービス・アプリの運営会社が、0~9歳の子どもを持つ男女1000人にウェブアンケートを行った。9割以上の人がスマートフォンで、子どもの写真を撮影しているという。
スマホ内蔵カメラの性能向上で、写真を気軽に撮れるようになった。そして、気軽な分だけ大量のデータの管理に苦労しているそうだ。フィルム写真の時代は、撮ってもらうと現像・焼付で写真になって見るのが楽しみであったが、今は撮るだけ撮って子どもたちは自分の写真を見ないこともあるらしい。
子どもの写真を撮る機器(複数回答)では、スマホが92%、続いてコンパクトデジタルカメラが49%、デジタル一眼レフが20%だという。上述のとおり、写真の保存方法は、95%がデータで保存し、自宅でプリントするのが28%、店などでプリントするのは26%だ。
当然のことながら“アルバムを持たない”と答えた人は60%である。そして、写真データの管理を面倒、不便と感じる人は80%にもなる。
今は“◯◯映え”などと、(SNS等の)ネット上がアルバム代わりなのかもしれない。とくに自撮りに慣れた人は、自分をよく見せるあらゆるポーズを熟知していたりもする。
かつて、写真撮影といえば、人さし指と中指を掲げる“Vサイン”が多かった。日本では、“ピースサイン”としてなじみが深い。今はそれをやったら、ダサいといわれそうだが。
Vサインにも歴史があるという。1941年、第2次大戦中のベルギー向けイギリス放送協会(BBC)の放送で、反ナチスの地下運動を奮いたたせるために広まったとのこと。
勝利を意味するフランス語などの頭文字としてVサインが提案され、英国当局が繰り返し宣伝した。あのチャーチル(当時の英国首相)も、Vサインのポーズで盛んに写真を撮らせた。
そして歴史のおもしろいところは、戦後では戦意高揚と真逆の“反戦平和”を意味する「ピースサイン」として使われたということである。いずれにしても、笑顔で写真を残せればなによりである。