日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

必要のないものが必要な時代

 

段ボールはシルクハットの内側が汗で蒸れないように、通気性を保つ裏地材として開発されたらしい。その発祥は1856年の英国だ。後に米国で、瓶などの緩衝材、包装材として普及することになる。

もし、今のような使われ方をしていなければ、シルクハットのない我が家では段ボールと出会う縁がなかったことだろう。

日本では1909年に中国大陸の放浪から帰国した井上貞治郎さんが、国産化に成功して、電球の包装材などに使われるようになった。“段ボール”という名称は、波形の段の付いたボール紙にちなんで井上さんが命名した。井上さんの設立した会社は業界最大手になった。

国内で段ボールが普及したのは戦後で、朝鮮戦争の米軍などが物資を運んだ段ボール箱が、丈夫さや軽さで注目された。近年の国内生産は、面積換算で岩手県の広さに匹敵するほどらしい。災害用簡易ベッドも開発され、熊本地震で重宝されたという。

 

 

ちょうど一年前に、レシートが1枚10円にかわるアプリ「ONE」が公開された。17歳の起業家が“次世代の金券ショップ"を目指すということで、話題になった。買い物をした際のレシートを、必要としない人は多い。

価値はないかもしれないレシートも、誰かにはお金を払ってでも買う価値のあるものなのではないか。そのことでレシートに1枚10円の値がつく、という。CEOの山内奏人さんの世界観や目のつけ所がおもしろい。

アプリ「ONE」の会社はユーザーから「レシートという形をした決済データ」を買い取り、そのデータを手に入れたい企業に販売していくしくみなのである。

今は大まかな統計データではなく個々の消費傾向を把握し、それぞれに最適な提案をすることが求められる時代だという。

 

 

だからこそ<どんな人がどのタイミングで、どのような商品を買っているのか。その商品と一緒に買っているものは何か>といった購買データに価値があるのだ。

ユーザーはアプリからレシートの写真を撮影するだけで、いたってシンプルである。そして、買い物の金額や購入した商品数などは自由で、どんなレシートも1枚10円に変わる。

ユーザー1人あたりが1日に撮影できるレシートは5枚や10枚などと、時期によって限定されるようだ。利用料等はかからないが、出金時の手数料200円についてはユーザーの負担となるらしい。

その反響は・・・といえば、サービス開始翌日の時点で、ユーザー数は約10万人に到達。買い取りレシートは累計24万枚に達したそうな。そのまま増えれば資金がショートするため、サービスを一時停止したという。

今現在の活動状態はよくわからないが、“必要のないものが必要になる”という(時代に沿った)アイデアには、興味が尽きないのである。