日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

視覚的な文章にはスピード感

 

アクションは小説においても、視覚的に“見せる”ものらしい。作家・矢月秀作さんのコラム記事にあった。その大事な要素にあるのは“スピード感”だ。

アクション小説ならではの手法として、文章でスピード感をどう表現するのか。まずは、“センテンスの切り口”とのこと。文章にリズムを出すため、長短のセンテンスを使い分けて、短い文章でスピード感 を出すのである。

<右ストレートを相手が放つ。とっさに身を低く避ける。すかさずフックとボディーを叩き込む>。こんな具合に、短く切るとスピード感が変化する。なんだかシナリオのト書きみたいで楽しい。

あと、注意をするのは、一ページの“白み”だという。改行がなく文字を続けると、紙面が黒くなる。そうなるとせっかくの軽快なシーンも重くなってしまう。長短の文章を並べて白みを見せ、横の流れでもスピード感を演出する・・・という。

 

 

昭和の時代に読んだ吉川英治さんの『宮本武蔵』にも、“スピード感”あふれるシーンがいくつもあった。武蔵の武勇伝での戦法が描かれるシーンや、ライバルであった佐々木小次郎の凄さを表現するシーンなどである。

小次郎が岩場で「燕返し」の鍛錬をするシーンでも、かなりのスピード感を受ける。それからは、今でもツバメを見るたびにそのスピードに酔いしれてしまう。

<燕啼て 夜蛇をうつ 小家かな>(蕪村)。(はりなどに巣を作る)ツバメの鳴き声でヘビが家に入ったのを知り、退治したとのこと。ツバメと(ヘビの侵入を教えてもらった)人の共存共栄がここにある。

大昔に人が洞窟で暮らしたころから、ツバメは人目のあるところに巣を作ってヘビやカラスなどの天敵から身を守ってきた。

<燕が巣を作るとその家は繁盛する>。西洋、東洋にもツバメの巣は家に幸福をもたらすという俗信はある。

 

 

1654年、武蔵の死後9年目に(小倉の)顕彰碑「小倉碑文」が建立された。そこには、宮本武蔵佐々木小次郎の巌流島での決闘のことが刻まれている。<岩流(佐々木小次郎)は“三尺の白刃”を手にして決闘に挑み、武蔵は木刃の一撃でこれを倒した>と。

刃長3尺余(約1メートル)の野太刀「備前長光」の小次郎に対して、武蔵は滞在先の問屋で貰った艫を削り、小次郎の長刀より少し長い木刀を振り落として破った。小次郎の死因は頭部打撲である。

ツバメの飛行速度はおよそ50~200kmといわれ、とびぬけて高い飛翔能力である。小次郎の剣はその速さにも対応する・・・との話であった。

ツバメは帰巣本能も優れている。3月下旬~4月上旬ごろに渡来するが、主な越冬地である東南アジア諸国から日本までの飛行距離は数千kmにもなる。しかも、その長い距離を集団ではなく1羽ずつ飛んでくるというから恐れ入る。