日日平安part2

日常を思うままに語り、見たままに写真を撮ったりしています。

気になる話を集めてつなげば

 

<気に食わぬ奴を寄せつけないでおく便宜の一部を放棄せざるを得ぬ悪魔の発明品>。なんだか小難しいが、“電話”の説明らしい。ブラックユーモア溢れる解釈で、様々な言葉を定義したA・ビアスの『悪魔の辞典』にある。

もし、LINEの既読スルーで右往左往する現代人を見たら、ビアスさんはなんと表するだろう。

使用頻度が激減している国語辞典も見ようによっては楽しめる。“役人”と“厄難”。二つの言葉が並んでいると、またなにか発覚したか? と気を回し、“識見”の隣に“失言”を見れば、総理&副総理の“ダブルAコンビ”の顔が浮かぶ。

<今日が人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを私はしたいだろうか?>。私がとても気になる言葉だ。

米アップル創業者・スティーブ・ジョブズさんが、2005年にスタンフォード大の卒業式で行ったスピーチだという。ジョブズさんは33年間、毎朝、鏡に映る自分にそう問いかけていた。『違う』という答えが何日も続くと、何かを変えなければならないと気付く。

 

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<人生の時間は限られています。他人の意見に惑わされず、自分の心と直感に従う勇気を持ってください>。スピーチの当時、ジョブズさんはがんで闘病中であり、その6年後に56歳で亡くなった。

とぼけた人の話も好きである。今は亡きマンボウ博士・北杜夫さんと狐狸庵先生こと遠藤周作さん。お二人は、たいへん仲が良かった。

ある日、マンボウさんが狐狸庵さんへの不平をつぶやく随筆を、雑誌に載せた。マンボウさんの入院中に狐狸庵さんからもらった見舞品は、マロン(栗)10個だった。それなのに、孤狸庵さんは友人らにメロン10個を持参したと触れ回っている、のだと。

随筆には随筆で対抗するのが狐狸庵先生。<私は多少、発音を正確にする男である。かつて英語を習ったとき、トマトのマは「ムエ」と発音すべしと教えられたのを実践したまでである>。マロンなら「ムエ(メ)ロン」と発声することになる・・・という理屈だ。

 

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1年前、<ハチの一刺し、電車ストップ…車掌が被害>という記事の見出しに思わず反応した。

「ハチのひと刺し」といえば、1981年の流行語であり、国中を大騒ぎさせた事件関連である。ロッキード裁判で元首相秘書、榎本敏夫被告の夫人だった榎本三恵子さんが、田中元首相の5億円受領を裏附ける証言を、“丸紅からの5億円受領を榎本被告は認めていた”と発言。この証言で田中被告は決定的に不利になったのである。

昨年の“ハチのひと刺し”は、愛知県のJR飯田線新城駅で、新城発豊橋行き普通電車の男性車掌(当時23歳)が、発車前の車内点検中にスズメバチに左手親指刺され、手がしびれる症状が出たという。

この電車の運転は取りやめ、乗客約50人には約30分後の後続電車を利用するよう案内した。こちらの“ひと刺し”は大事にいたらなかったが、見出しには恐れ入った。